Special Issue

シュナイダーエレクトリック IoTの領域でビジネスの拡大を サーバー以外の機器へもUPSを提案

2016/08/18 15:49

週刊BCN 2016年08月08日vol.1640掲載

 UPS(無停電電源装置)大手のシュナイダーエレクトリックが、新しいビジネス領域に進もうとしている。これまでは、サーバーを中心としたユーザー企業の社内ITシステムにUPSを提供することをメインに据えていたが、IoT(Internet of Things)などをキーワードにさまざまな分野でIT化が進んでいることから、サーバー以外の機器に対する電源の重要性を啓蒙しながらマーケットの拡大を推進している。また、UPSだけでなくPDU(電源タップ)なども合わせて「電源保護ソリューション」として提案することで、ユーザー企業へ導入を促している。今後は、ITシステムはもちろんだが、それ以外の分野へも事業の拡張を図る方針だ。

古畑浩章
IT事業部
パートナー営業本部
パートナー営業部部長
 家電量販店やパソコン専門店などのPOSデータを収集してアイテム(製品ジャンル)ごとに集計した実売データベース「BCNランキング」によれば、シュナイダーエレクトリックは2016年1~6月のUPS販売台数で47.0%のシェアを獲得してトップに君臨している。圧倒的なシェアによって国内市場で確固たる地位を築いているトップベンダーだが、UPSの用途拡大の必要性を感じている。古畑浩章・IT事業部パートナー営業本部パートナー営業部部長は、「ユーザー企業ではクラウドサービスの利用が増えているため、オンプレミス型ITシステムの導入が減っている。それに比例して、UPS市場も縮小傾向にある。この状況を打破していく」と決意を語る。

 このような事業環境の流れのなかで、シュナイダーエレクトリックは今年1月にパートナー企業への支援プログラムを強化。優良なパートナー企業に対して、専任の営業担当を配置することに加えて報奨金制度の改善を行った。古畑部長は、「パートナーシップを深めることによって、新たなUPSの可能性を広めていきたい」との考えを示している。

 具体的には、常に稼働していなければならない監視目的の定点カメラにUPSを導入するという案件を獲得している。また、Wi-Fi環境が広がるなかで、電車内に設置するネットワーク機器にUPSを導入するという事例も出てきている。

 さらに、ラック内にUPSとPDUを組み合わせてパッケージで提供する例や、オフィス内に設置できる小型静音ラックなどの引き合いも増えている。「パートナー企業も、社内ITシステム用のサーバーにUPSを提供するという今までのビジネスに加えて、新たなビジネスを手がけていきたいと考えている。さまざまな機器がネットワークにつながるようになった。今後は、IoTを切り口にUPSをはじめとする電源保護のソリューションが必要になってくるだろう」と古畑部長は捉えている。この流れを受けて、シュナイダーエレクトリックは、パートナー企業とともにビジネスを拡大していく。
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外部リンク

シュナイダーエレクトリック=http://www.apc.com/jp/