Special Issue

NECが提示するICTを活用した未来の社会 ショールームを超えた、新たな価値創造・共創の場に

2019/03/14 09:00

週刊BCN 2019年03月11日vol.1767掲載

 NECは2月8日、本社1階に「NEC Future Creation Hub」、本社から徒歩1分の芝三丁目ビル1階に「NEC Future Creation Lab」の二つの共創空間をオープンした。目指すのは、ICTの活用による顧客と社会が抱えるあらゆる課題の解決と、新たな社会価値の創造だ。ショールームを超えた二つの新たな施設を通して、顧客やパートナーと共に、未来に向けた新たなイノベーションを共創していく。

NECのショールームの歴史と進化

 NECはこれまで、秋葉原の「クラサバ市場」や品川の「NEC Innovation World」などのショールームを展開。顧客やパートナーとの接点の場としてきた。

 2005年にオープンした秋葉原のクラサバ市場は、PCサーバー「Express5800シリーズ」をはじめとした法人向け商材を展示。当初はハードウェアを中心とした展示内容だったが、顧客ニーズの変化から、次第に商材を組み合わせた“ソリューション”へと展示の幅を広げてきた。こうした流れを受けて、よりソリューションを紹介しやすい場所にすることを目指し、18年2月に田町へ移転し、展示・デモスペースとセミナールーム、検証ルームを備えた「NEC Platform Solution Center」としてリニューアルオープン。19年2月8日には「NEC Future Creation Lab」と名称を新たにした。

 一方のNEC Innovation Worldの前身は、04年に開設した「Broadband Solution Center」だ。主にネットワーク商材を紹介していたが、09年に全社の注力ソリューションの紹介や、トップアプローチで新たな社会価値を提案する場の「NEC Innovation World」へと進化。その後、一方的な提案・紹介の場ではなく、顧客のビジネスを共に考え、共に実現するための場がより必要だと考え、田町本社の1階に移転、19年2月8日に共創空間「NEC Future Creation Hub」として新たな一歩を踏み出した。NECでは、これら二つの施設を連携させながら、ショールームを超えた新たな価値を提供する場として活用していく方針だ。
 

NECが考える未来の社会を描きだす
NEC Future Creation Hub

「体感」と「対話」で共創を推進

 本社1階にオープンしたNEC Future Creation Hubは、「社会価値創造のための共創の場」として、NECが考えるICTを活用した未来の社会を紹介する。顧客やパートナーにNECのビジョンやNECが考える未来の姿を「体感」してもらい、その上でNECと深く「対話」することを通して、新たなイノベーションを生み出すことを目指している。NEC Future Creation Hubのセンター長を務める野口圭氏は、「自然を意識した空間デザイン」と「空白のある展示スペース」が特徴だと説明。会議室に緑や木を多用したり、展示物間で大きくスペースを取ったりと、「お客様が集中して議論できること、お客様との議論の余地があるような空間ということを意識した」と話す。
 
NEC Future Creation Hub
センター長
野口 圭氏

自然の光や緑を多く取り入れたNEC Future Creation Hub

 展示エリアには、近未来の安全・安心・効率・公平な都市や新しい企業活動を、都市経営や社会課題などの視点から俯瞰するソリューションを揃える。小売りや製造、官公庁など顧客特性に合わせたシナリオで、柔軟に対応していく。
 
小売りの現場の未来を体験できる展示

 さらに、顧客との共創に際し、NECではデータサイエンティストやバリュークリエーターなど、1600人の専門部隊を擁し、さまざまな人材をアサインできる体制を整えている。社会課題の共有や未来のソリューションの体感を通して、顧客がNECとともに課題をどう解決できるか、対話を重ねていく方針だ。なお、施設名の「Hub」には、NECと顧客・パートナーをつなぐハブであると同時に、ウェブ会議システムなどを活用して東京と地方、日本と世界をつなぐ拠点としていくという思いが込められている。

イノベーションのイメージを具体化する
NEC Future Creation Lab

NECのテクノロジーに触れて実感

 未来のビジョンを体感できるのがNEC Future Creation Hubである一方、今すぐ導入可能なソリューションを体感し、実現に向けた具体的な話し合いを重ねることができるのがNEC Future Creation Labだ。センター長の柿澤幸宏氏は、「NEC Future Creation Hubで社会課題やお客様の課題を弊社と共有・共感していただいた後に、課題を解決するための具体的なNECのテクノロジーをお伝えするのがNEC Future Creation Labの役割だ」と説明する。そのため、CIOやCMOなど経営層へのトップアプローチが中心のNEC Future Creation Hubとは異なり、NEC Future Creation Labでは「ぜひ、業務を行う現場の方々に足を運んでほしいと考えている」(柿澤氏)。
 
NEC Future Creation Lab
センター長
柿澤幸宏氏

 コンセプトの変更により展示内容も大きく変化している。クラサバ市場時代は、Express5800シリーズやビジネスPCをはじめとした製品展示の比率が大きかったが、NEC Future Creation Labでは顔認証やRPAなど、旬なソリューションを中心とした展示構成に変わっている。これは顧客や販売店からの「課題解決に直接つながるソリューションを知りたい」「デモで効果を体感したい」という声が大きかったからだ。また、施設面積が拡大したことで、展示・デモスペースだけでなく、セミナールームや検証ルームなども併設。より深い理解と納得を得られるように環境を整えた。
 
実機やデモを体験できるNEC Future Creation Lab

 今後は二つの施設の連携を強化していく。NEC Future Creation Hubで紹介したソリューションの実機をNEC Future Creation Labで展示するため、随時追加・拡張する。また、営業やソリューション開発、販売促進チームとも連携し、顧客ごとに提案するソリューションの組み立て、提案プロセスなどを構築していく方針だ。

 さらに、NEC Future Creation Labでは、ウェブ会議システムの「Zoom」を活用した遠隔デモンストレーションを今春取り入れ、遠方の顧客に対してもアプローチを開始する。これにより「場所の制限を超えて、幅広くお客様に体感してもらえるようになる」と柿澤氏は強調する。

 販売店による活用事例も増やしていく考えで、昨年には販売店と共に展示会とNECのセミナーを組み合わせたイベントを開催した。「NEC Future Creation Labには、実際に動く製品やソリューションがすでにある。ぜひこれを活用してもらいたい。また、NECの製品だけではなく、パートナーの製品も含めたソリューションの展示も前向きに検討していきたい」と柿澤氏はアピールする。

 また、NEC Future Creation Hub/Labの二つの施設にとどまらず、新しいスマートファクトリーを実現するために玉川事業場内に開設された、次世代ものづくりの体験の場「NEC DX Factory共創スペース」や、グループ会社のショールームなどとも連携を拡大し、グループ全体でシナジー効果を高めていく予定だ。
 

NEC Future Creation Labの見どころ

 NEC Future Creation Labは、製品・ソリューションを展示するエリア、セミナー施設、検証施設などで構成されている。利用は予約制で、デモンストレーションを実施した件数は約700件、来場企業数は約590社に上る(18年4月から12月までの累計)。
 
NEC Future Creation Lab
シニアエキスパート
中島泰宏氏

 数十種類に及ぶソリューションのデモを用意しており、入れ替えや追加を随時行っている。特に注目度が高いのが顔認証の「NeoFaceシリーズ」で、NEC Future Creation Labシニアエキスパートの中島泰宏氏によると「平均で1日1件以上は体験予約が入っている」状況だ。このほか、RPAツールの「NEC Software Robot Solution」やウェブ会議ソリューションの「Zoom」も関心を集めているという。これらのソリューションを紹介する。

顔認証「NeoFaceシリーズ」

 専用ルームを設けたほど高い人気のあるソリューションで、オフィスや施設の入退管理システムとして導入を検討している企業が多い。デモでは、実際の顔認証のスピードや、顔の角度、照明の明るさといった認証に必要な条件などの詳細を確認できる。
 
顔認証を活用したドア開錠のデモ
 

RPAツール「NEC Software Robot Solution」

 一からプログラムを組むよりも簡単に導入でき、定型的に行っている事務作業の負荷を大幅に軽減することが可能。ドキュメントスキャナー、OCR、RPAを組み合わせると、紙帳票のデータをシステムに自動で入力できる。
 
紙帳票の読み取りの速さを体感できる
 

ウェブ会議システム「Zoom」

 PCだけでなくスマートフォンやタブレット端末でも利用でき、専用アプリをインストールしてパスワードを入力するだけの簡単な操作でウェブ会議に参加できる。デモではカメラやマイクを変えることで見え方、音声がどのように変わるのかを体験できる。
 
「Zoom」を含めた社外とのコラボレーションツールを紹介


詳しくは
NEC Future Creation Hub https://jpn.nec.com/fch/
NEC Future Creation Lab https://jpn.nec.com/nfcl/index.html

※法人のお客様を対象にした完全予約制の施設です。ご見学を希望されるお客様は、弊社担当営業にご相談ください。
※デモのご予約・お申込も可能です。
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外部リンク

NEC=https://jpn.nec.com/