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鎌倉の農業ベンチャーinaho、野菜収穫ロボットで農業自動化に挑戦する

2019/12/02 20:00

 高齢化、労働人口の減少が著しい農業。「人がやらなくてもいい仕事」「きつい、汚い仕事」をロボットに任せたい、というニーズが高まっている。農業のスタートップinaho(イナホ、神奈川県鎌倉市)は、野菜を自動収穫するロボット「自動野菜収穫ロボット」を開発し、農家に対してレンタルを開始した。

自動野菜収穫ロボット

 作物の収穫方法は、固体ごとに成長のバラつきがある野菜や果物を一つずつ収穫時期を判別しながら収穫する「選択収穫」と、収穫時期がそろう作物をまとめて収穫する「一括収穫」がある。一括収穫の代表的なものとしてはコメやジャガイモなどがあり、収穫機を使って一気に収穫することで人の作業負担を軽減することができる。

 ところが選択収穫の場合、一つずつ成長具合を確認し、収穫時期を迎えた作物だけを収穫する必要があるため、収穫機の導入が難しく、手作業に頼っていた。

 inahoが開発した自動野菜収穫ロボットは、選択収穫の野菜を収穫するロボットで、作物の成長具合を判別するカメラとAI、そして作物を一つずつ収穫できるアームを備える。また、ビニールハウス内に引いた白いラインに沿って自動で走行するため、自動化が可能だ。
 
白いライン上を走行する

 まずはアスパラガスの収穫に対応。アスパラガスの一大生産地である佐賀県鹿島市に拠点を設け、アスパラガス農家に貸し出している。収穫方法は、アスパラガスの画像から長さや穂先などの形状をもとに、収穫時期にあるか判別する。収穫時期にあるアスパラガスをロボットアームで1本1本収穫し、ロボットに備え付けたかごに入れていく。かごがいっぱいになると農家のもつスマートフォンに通知するので、人が付き添う必要がなく、夜間でも収穫できる。

 自動野菜収穫ロボットは、アームを変えることで他の作物にも対応する。今後は、トマト、いちご、キュウリ、ピーマン、なすなど対応作物を拡大していく。また、拠点を拡大する予定で、2022年までに九州地区で24拠点、全国で40拠点を開設する予定だ。海外進出も予定しており、20年にはオランダに拠点を構える予定。

 料金体系にも新しい取り組みを導入している。収穫ロボットを販売するのではなく、無料で貸し出し、使用料をもらうRaaS型(Robot as a Service)を採用している。従量課金制だが、使用時間に応じて課金するのではなく、収穫高に応じて課金する。inahoの社員によると「アスパラガスの場合、市場取引価格×重量の15%」という。市場価格の変動にも柔軟に対応するので、農家にとっても導入しやすくなる。

 inahoでは「アスパラガスの収穫時期である2~10月はアスパラガス農家へ、11~1月はイチゴ農家へと1年を通して異なる農家に貸し出すことで収益性を高めていきたい」と話している。
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inaho=https://inaho.co/