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キヤノンITS出身の新社長が就任 中小企業向けビジネス強化へ 日本独自のサービス提供を予定――JSecurity

2019/04/08 07:00

週刊BCN 2019年04月01日vol.1770掲載

 韓国のセキュリティーベンダー、ジランソフトのグループ会社で日本国内でセキュリティー事業を展開するJSecurityは新社長を迎え、国内ビジネスに拍車をかける。中小企業向けを中心に営業活動を強化、新サービスの提供も予定する。

 ジランソフトは1994年に創業。韓国、日本のほか3カ国に拠点を構え、現在までに5万社以上の製品導入実績がある。日本では2004年にビジネスを開始し、11年に日本法人のジランソフトジャパンを設立。18年1月に会社分割し、新設されたJSecurityがセキュリティービジネスを手掛ける。現在、企業向けオンラインストレージ製品の「GIGAPOD」や、メールセキュリティー対策製品の「SPAMSNIPER」、脅威インテリジェンスサービスの「CYREN」、ファイアウォールの統合管理製品の「FIREMON」などのソリューションをそろえている。
 
崎山秀文
社長

 今年3月15日付で代表取締役社長に就任した崎山秀文氏は、SPAMSNIPERの販売パートナーでもあるキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)で営業・マーケティングに従事し、セキュリティーソフト「ESET」を国内市場に広めた人物だ。崎山社長はJSecurityについて、「製品の精度は高いものの、日本でのマーケティングがこれまで上手ではなかった。そこをしっかりすれば伸びると確信している」と語り、活動を強化していく考えを示す。

 主な販売ターゲットとして中小企業を想定。「サイバー攻撃は中小企業を踏み台とするものが多いが、中小企業自身はセキュリティー対策をどうしたらいいのか分からないというところが多い」(崎山社長)。セキュリティー人材不足も課題に上る。JSecurityはこれまでにGIGAPODなどの製品を中小企業向けに提供してきたが、今後はサービス販売に注力する方針。同社の持つ各種セキュリティー製品の機能を連携させてセキュリティーの監視や運用を支援するほか、日本独自のサービスとして、セキュリティー製品の運用全般を担うような「中小企業向けにオールインワンされたサービス」(崎山社長)の提供も新たに予定しているという。

 大企業に対しては、FIREMONの提供に注力。さまざまなメーカーのファイアウォールやUTM(統合脅威管理)を一括管理できる製品で、多数のセキュリティー機器を導入している企業に商機を見込む。

 また、CYRENのOEM提供にも力を入れる。CYRENの脅威情報データベースはグーグルやマイクロソフトのメールサービスのウイルス対策などにも活用されている。ジランソフトは16年9月に、米サイレン社と日本を含むアジア太平洋地域(APAC)市場をターゲットとした共同ビジネスを開始しており、メーカーやサービス事業者に向けて提供を加速させていく考えだ。

 製品展開にあたり、既存パートナーとの関係の深化に取り組むと同時に、新たな販路の開拓も検討する。JSecurity自身も現在10人ほどの社員数を、年内には2倍、21年には4倍以上にまで拡大していく方針だ。「21年のIPOを目指す」と、崎山社長は力を込める。(前田幸慧)
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