▼こんなご時世でも業績を伸ばしている企業を取材すると、1つのキーワードが浮かび上がる。それは「コミュニケーション能力と行動力の高さ」である。顧客の要望を聞き取り、具現化する能力をもち、さらに足を使って案件を探してくる能力がある企業は、こんな時代でも元気である。

▼顧客の要望を聞き取るというのは当たり前のことでもあるが、実現するのは案外難しい。顧客の要望を聞かず、「自分たちができることはこれだけだから」とあらかじめ断ってしまえば、仕事に対する労力は少なくて済み、その方がずっと楽だ。あえて顧客の要望を聞き取ると、やらなくてもいいことまでやらなければならないことになり、つらい。無意識のうちに、聞こえたことも、聞こえなかったふりをして仕事をしたくなるのが人間である。

▼特にIT業界は、「進化のスピードが速く、難しいもの」ということを隠れ蓑に、顧客とのコミュニケーションを積極的に行ってこなかったフシがある。顧客側から要望があがってきても、「それは技術的に無理です」と、にべもなく断ることも少なくなかったようだ。右肩上がりの時代はそれで通用したかもしれないが、これからはそうはいくまい。

▼コミュニケーションや行動力を高めることは目標も立てにくく、技術力を高めること以上に、社員教育も難しいのは確かだ。しかし、厳しい環境を生き抜いていくためには、必須の能力のように思える。