北斗七星

北斗七星 2003年1月27日付 Vol.975

2003/01/27 15:38

週刊BCN 2003年01月27日vol.975掲載

▼1月20日、大相撲の横綱貴乃花が現役引退を発表した。記者会見では「すがすがしい気持ち。悔いはない」と語った。右ひざの故障で休場を重ね、横綱としての重責を全うできなかった無念さは察してあまりある。30歳というまだまだこれからの年齢で下した選択に対して、「おつかれさまでした」と素直にねぎらいたい。

▼NECは、西垣浩司社長が社長を退き、代表権のある副会長に就任する人事を発表した。西垣氏は会見で退任の理由について、「今年度の黒字回復にめどが立ったため」と語ったが、前相談役の関本忠弘氏との確執も伝えられるなど、何かと注目されていた。突然の発表だったが、金杉明信次期社長へのバトンタッチがベストの選択だという、西垣社長の決断だったのだろう。

▼今年3月期の最終赤字は1兆9500億円に達する見込みだという。みずほフィナンシャルグループである。01年度と02年度の特別損失がそれぞれ1兆4000億円と8000億円。これはNTTドコモである。両社の経営陣がどのような責任をとったのか、寡聞にして知らない。

▼「自分がほんとうに何者かを示すのは、持っている能力ではなく、自分がどのような選択をするかということなんだ」。世界中でベストセラーになったファンタジー「ハリーポッターの秘密の部屋」のなかの一節である。人は”選択するという決断“ができる人とできない人の2種類に分かれるのではないか、そんな感想をもったここ数日の出来事である。
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