米国で、東芝や富士通などがタブレットPCの販売を昨年末から始めた。CompUSA のような販売店では売り切れが発生する状態もあった。しかし、この売り切れには2つ理由があった。まず、タブレットPCの販売数を想定できなかったメーカーが大量製造を行わなかった。

パシフィックソフトウェア パブリッシング 内倉憲一

 米国で、東芝や富士通などがタブレットPCの販売を昨年末から始めた。CompUSA のような販売店では売り切れが発生する状態もあった。しかし、この売り切れには2つ理由があった。まず、タブレットPCの販売数を想定できなかったメーカーが大量製造を行わなかった。そのため供給量が少なく、米国各地でバックオーダーが発生した。もう1つの理由が、新しいもの見たさの好奇心だろう。企業の多くは新しい技術が世の中に出ると、使う・使わないに関係なく一度は購入してみるものだ。

 また、ソフトウェア開発会社やVAR(付加価値再販業者)、SI(システムインテグレータ)業者が研究開発の目的で、少なくとも1台はタブレットPCを購入した。こうした要素が重なって、初期出荷に関しては売り切れという状態になったのだ。この売り切れに気をよくして、多くのメーカーで追加の製造を開始してしまった。この結果、市場にはタブレットPCが安定して供給できる体制が完成した。ただ、市場はタブレットPCを次期ノートパソコンとしては認めなかった。その結果、タブレットPCの売り上げは、ゼロに近い数字になってしまった。値下げをしなかった販売店も値下げを開始。メーカーは在庫処分を見込んでか、リベートという手段で商品の値下げを開始。今まで絶対に出てこなかったビジネスのオークションサイトで、タブレットPCが見られるようになったもの最近だ。

 今回出荷されたタブレットPCは、ノートパソコンより価格が高い。これでは市場が受け入れない。また、タブレットPCは、バーチカルな市場を対象に設計されたコンピュータだ。バーチャルなマシンをホリゾンタルな市場に売り込むことは難しい。バーチャルなマシンなら、バーチャルな市場に商品を売り込むためにVARやSI業者への営業をしなければならないが、これが何もされていない。この状態では、米国でのダンピングがスタートするのも時間の問題だ。(米シアトル発)