ルツェルンに向う途中立寄った街で、民家の窓辺に揃って美しい花壇を飾ってあるのを見て感心した。スイスの国内各地でよく見られる光景だが、この国の住民1人1人がそれだけ花が好きで愛しているのを知って、心が和む想いをした。ルツェルンは国際音楽祭と、ヨーロッパ1古い木橋カペル橋が有名。ここで旅の最後の宴を開いた。名物チーズフォンデュとワインで大いに盛り上がり、飛び入りで舞台に上がる人が出たりして、楽しい夜を過ごした。翌日、美しいスイスに心を残しながらチューリッヒを発ち、成田に向かった。

 旅行後の所感。スコットランドとスイスは相反する部分とよく似た点があって、好対照であると思った。スコットランドは起伏の少ない丘陵地が多い。晴れた日が少なく、雲が低く垂れ込めていて荒涼とした風景である。それに対して、スイスはアルプスの高峰に囲まれ、氷河に削られた深い谷と湖が多く素晴らしい景観が広がっている。その上晴れた日は空が抜けるように青く透んでいる。いかにも世界の観光地らしい。食事は両国共、簡素でお粗末に近い。パン(スコットランドは大麦で作る)とジャガイモが主食で、塩と胡椒で味付けした分厚い肉と、大きなチーズが副食である。それを毎日飽きもせず食べている。

 栄養はこれで十分なのだろうが、われわれにはできない話である。総じて寒冷地の人々は南のラテン系の人々に較べて、味覚が乏しいのではないか。フランスやイタリア料理などはあるが、イギリスやドイツの料理というのは、あまり聞いたことがない。気候風土によってそこに住む人々の味覚も違ってくるのではないか。