▼1人の科学者がいた。名を天馬午太郎という。1966年、群馬県に生まれる。優秀だったのだろう。群馬大学を卒業し、科学者となった。彼には一人息子がいた。ある日、突然不幸が天馬親子に襲いかかる。一人息子が交通事故に遭い、命を落としてしまうのである。彼の絶望はいかばかりであっただろうか。愛する息子が忘れられない。そこで、彼は専門分野である科学技術を駆使して、あるものを作った。その名前は「アトム」という。

▼4月7日は鉄腕アトムの誕生日だそうである。この日を記念して、さまざまなイベントが開催された。ソニーのアイボやホンダのアシモが人気を博しているのは周知の通り。SFや夢物語ではなく、まさに21世紀はロボットの時代かもしれない。しかし、私たちは、科学技術とどうつきあっていくのかを模索中である。今回のイラク戦争では、精密誘導爆弾など、最新のテクノロジーを応用した兵器が使われた。私たちは科学技術とどう間合い﨟をとっていくのか。

▼天馬博士は、失った息子が忘れられず、ロボットを作った。なんといじらしく、切ない話だ。彼は息子を一時も忘れられず、常にそばにいてほしかったのだ。「人間的な、あまりに人間的な」科学者。天馬博士はアトムをかわいがる。しかし、アトムは所詮ロボット。成長はしない。天馬博士の心の闇と苦悩。そして…。大きくならないアトムに怒りを覚えた天馬博士は、アトムをロボットサーカスに売り飛ばしてしまう…。