Letters from the World

ネット商店の顧客管理

2003/04/28 15:37

週刊BCN 2003年04月28日vol.988掲載

 ウェブサイトを訪問する顧客の再訪問率や体験満足度を向上させることが、ウェブサイトを通じた商業活動を成功させるために最も重要な案件の1つであることはすでにネット商店の共通認識となっている。この目標を達成するための努力が競合各社の間で積極的に進められているが、その道のりにはいまだ多くの課題が立ちはだかっているようだ。

 イーテイリング・グループが最近発表した市場調査結果によれば、フィードバック(顧客の声)リンクをウェブサイトのあらゆるページに分かりやすく配置することで、顧客からの意見、不満などの情報を確実に吸い上げようという試みがネット商店の主流になってきていることが明らかになっている。2001年、すでにこの体制を確立していたネット商店は全体の半数を超える程度だったが、その達成率は上昇を見せ、03年には全体の9割に届くところまでになった。

 しかし、企業戦略を最適化するための方向性を顧客から届いた声から導き出すための環境整備はネット商店の間では、いまだほとんど手つかずの状態も明らかになっている。ウェブシステム改良のために最近抱える最重要課題は何かという質問に対し、200のネット商店主がその上位順に、ハードウェアプラットフォームのグレードアップ、受注処理の自動化、システム性能の改善、個人化技術の導入、検索機能の充実、商品項目の充実、システム自動化の導入、仕入元とのシステム統合、と続けて最後にデータ管理を上げたことは興味深い。

 この結果は、顧客からの声を集めたはよいものの、このデータの有機的な活用体制がほとんど確立されていないことを示唆している。この段階に入る前に処理しなければならない案件が目白押しとなっている実態がうかがえる。基礎的かつ低価格による柔軟で安全なデータ管理のアウトソーシング需要が、ネット商取引市場で拡大の一途を辿る傾向が見られる。(米サンノゼ発)
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