旅-経営者の目線-

<旅-経営者の目線->59.台湾の旅-(1)安平古堡・珊瑚潭

2004/05/24 15:27

週刊BCN 2004年05月24日vol.1040掲載

 2004年の3月所用で台湾に行った折りに、足を延ばして念願だった三地点を訪れ、感動のひとときを過ごすことができた。

 安平古堡。台南市は早くから台湾の政治経済の中心地として発展したところで、その一画に安平古堡と赤嵌樓がある。前者はもとはオランダ人が赤レンガで築いたゼーランジャ城で、清の初期に鄭成功が攻略した。

 彼はここを根拠地として福建や広州を支配し、南支那海一帯の覇権を握った。彼の父は鄭芝龍、母は日本人石川氏で平戸に生まれ、明のために清と戦い続け38才で夭折した名将である。赤嵌樓は彼の行政府であった。

 珊瑚潭(島山頭ダム)。嘉義市から台南市までの野を嘉南平野という。香川県ほどの面積があり、台湾の全耕地面積の6分の1を占める大平野である。しかし、台湾は山は急峻で海が近く、常に川の氾濫と旱魃に見舞われる不毛の地であった。

 台湾の総督府の水利責任者であった八田與一氏が4年間の未開の山間避地調査を経て立案した計画書が時の政府の英断を得て1920年9月1日に建設着工することになった。鳥山頭に大堰堤を築き付近の渓谷の水を貯めると共に、山の向こう側の曽文渓の豊富な水を導き入れるために長大なトンネルを貫通させた。

 堰堤は東洋にただ1つしかない独特の工法を用いて、高さ56メートル、堰堤頭部の長さ1273メートルという東洋一の規模である。毎日1000人を超える労働者が働いた。そして10年後の1930年3月遂に有効貯水量1億5000万立方メートルの巨大ダムが誕生した。同時に平野に網の目のように1万6000キロもの給排水路を張り巡らせた。(続く)
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