旅の蜃気楼

中国にスカイツリーのルーツをみた

2012/05/24 19:47

週刊BCN 2012年05月21日vol.1432掲載

【根津発】東京の下町、根津に住んでいると、上野・不忍池が贅沢な散歩コースになる。季節の折々にさまざまな花が目を楽しませてくれる。桜が終わったと思うと紫陽花、そして早朝にいっせいに花開くハスへと続く。薄いピンクから濃いブルー、そして鮮やかなピンクへと色が変わる。自然の姿は美しい。そんな自然の風景に、今年は特別なものが加わった。不忍池の水面にその姿を映す東京スカイツリーだ。その“樹木”が芽生えた(着工)のは、2008年7月14日。実がなったのは今年5月22日。634mと、ずいぶん背の高い樹だ。東京スカイツリーという名前は、どこからとったのだろうか。天に聳えるツリーという姿にピッタリだ。

▼思わぬ所でスカイツリーという名前のルーツに出会った。成田空港から上海の浦東空港へ。そこから国内線で雲南省の昆明に向かう。昆明から飛行機で西双版納(シーサンバンナ)タイ族自治州の景洪へ。さらに200kmの距離をクルマで飛ばすと、ボーテンというラオスとの国境の街に着く。南へ南へと暑い土地に向かって走る。その途中にダムがある。このあたりは亜熱帯樹林で、望天樹の「空中走廊」というひと休みができる公園がある。

▼この望天樹のことを「スカイツリー」と呼ぶ。望天樹の高さは70mもある。見上げると、まっすぐ空に向かって伸びている。まさに東京スカイツリーの姿だ。ここには数百本の望天樹があって、学者が生態系を調査するために望天樹の幹と幹を縄で繋ぎ、吊り橋「空中走廊」ができた。地上30mの高さに全長2.7kmの吊り橋がかかっていて、そのうちの400mを歩くことができる。下を見ると目が眩む。ひと足早いスカイツリーを中国で見た。押上と西双版納は姉妹都市を結んだらどうかと考えた。(BCN社長・奥田喜久男)

中国・雲南省の西双版納にある本家(?)のスカイツリー
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