北斗七星

北斗七星 2015年7月20日付 vol.1588

2015/07/23 15:38

週刊BCN 2015年07月20日vol.1588掲載

▼ギリシア神話に登場するイカロスは、ロウでつくった翼で空を自由自在に飛ぶことができた。その能力を過信して、イカロスはどこまでも高く飛ぼうとするのだが、太陽に近づきすぎて、ロウの翼が溶けてしまう。翼を失ったイカロスは、落下して命を落とすことになる。テクノロジーに溺れる人類に警鐘を鳴らす神話である。

▼日本年金機構が保有する個人情報の一部が流出したことをきっかけに、公的機関におけるセキュリティ対策の甘さが次々と明らかになっている。最悪なのは、“甘さ”が個々人の認識にもみられるということ。いくら高度なセキュリティ対策を施しても、現場のユーザーが無意識のうちに太陽に近づくようでは、落下してしまう。この問題にITはどう立ち向かうべきか。

▼情報流出事件が頻発したことで、企業トップの意識は大きく変わったが、現場まで浸透させるのは容易ではない。ITの問題はITで解決すべきだが、それではテクノロジーに溺れてしまいそうだ。

▼イカロスの話は、子どもの頃からおかしいと感じていた。ロウの翼で空が飛べたとしても、太陽の熱で溶けるほど近づけないでしょ、と。(風)
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