ITで高齢者と医療の距離を縮める

 病気やケガで入院しても、医療費抑制の国の方針により、急性期の病院には長居させてもらえない。軽微な症状なら「治りかけ」で退院させられることがあるし、重篤であっても「これ以上回復が見込めない」となると、やはり追い出される厳しい現実がある。

 しわ寄せがいくのは高齢者である。長期療養型の病院や、介護施設に身を寄せたとしても、急性期の病院のような医師・看護師の濃密なサポートは期待できない。

 本書は、福岡県で療養型病院や介護施設を経営する芙蓉会の前田俊輔代表が、高齢者と医療の距離を縮めるために奮闘した記録である。高齢者医療の課題を分かりやすく解説するだけでなく、遠隔医療(テレケア)を自ら実践することによって、解決への道筋を示している。

 ITを駆使して、限られた医療リソースを効率よく活用。将来にわたって持続可能な高齢者医療のあり方を具体的に提示した良書だ。(寶)
 

『遠隔医療が高齢者医療を救う~AIがひらく個別化医療の時代』
前田俊輔・医療法人芙蓉会代表 著
PHP研究所 刊 (1500円+税)