理解を深め、「先を読む力」を養う

 現代社会では、各国が地球規模でつながっている。日常生活では、インターネットを通じてさまざまな情報を収集し、ほしいものがあれば海外の店舗から買うこともできる。利便性は増したが、国同士が対立した場合、企業の活動や人の往来などに影響が出る。もはや海外の情勢は対岸の火事でない。

 国際関係の学問の中で、本書は国際政治学に焦点を当てる。長年にわたって外交官を務めた著者は、国際政治学を「国家を主たるプレイヤーとする国際社会の政治を分析し、理論づけようとする学問」と定義する。しかし、「生身の国際政治は、そんな理論を打ち砕き、私たちの常識や予測を覆す」とし、「国際問題や外交の現場には、誰もが納得し賛同する『正解』などほとんど生まれないと言っても過言ではない」と説明する。

 時々刻々と変化する国際政治の情勢を網羅するのは容易ではない。だからこそ「ざっと学べる」ことは大きな魅力だ。本書は、重要な単語は太字で表記しており、要点をしっかりとつかむことができる。各項目は見開きでまとまっているため、興味のある分野から読むことも可能。右側のページでは、図や写真を交えて「30秒でわかる!ポイント」を掲載しており、これが非常にわかりやすい。

 本書は、10時間で学ぶことを狙いとしているが、手元に置いて、ニュースなどを補完する使い方をしてもいいだろう。いずれにしても、国際政治について理解を深め、著者が主張する「先を読む力」は養えるはずだ。(鰹)
 


『大学4年間の国際政治学が10時間でざっと学べる』
小原雅博 著
KADOKAWA 刊(1500円+税)