幸福な社員を作る職場

 「幸福」を英語に訳そうとすると、まず「ハピネス」を思い浮かべるが、それは甘い物を食べたときのような一時の幸福感というニュアンスがあり、持続的な幸福を言う場合には「ウェルビーイング」を使うそうだ。本書が紹介する「ウェルビーイング経営」とは、社員のモチベーションや充実感といった心の健康を、いい状態で維持し続ける仕組みを織り込んだ経営を指す。つまり従業員が精神的に充実した状態で仕事に臨める会社環境を追求することである。

 なるほど、ストレスフリーで幸福な従業員は、創造性や生産性を高められるだろうと納得できるのだが、一面では理想論とも思ってしまう。しかし本書を読んで、はっとさせられるのは、ここで紹介される人間関係を良好にする施策も、オフィスへの工夫も、どれも実例であることだ。ウェルビーイング経営はすでに一定数、成功を収めた具体的な経営のあり方なのだ。

 人に仕事のことを自慢するときには、年収を持ち出すといった常套手段があるが、記者は自分の職場環境に胸を張れる人を羨ましいと思う。自分の会社がウェルビーイング経営をしているとはっきり言えることは、勤め人のステータスになり得るし、転職が当然となる世の中では、企業選びの決め手にもなるだろう。(石)
 


『ウェルビーイング経営! 社員の笑顔が会社を成長に導く』
株式会社PHONE APPLI ウェルビーイング経営出版プロジェクトチーム 著
小学館スクウェア 刊 1980円(税込)