BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『外資系データサイエンティストの知的生産術』

2024/01/26 09:00

週刊BCN 2024年01月22日vol.1999掲載

生きる限り学び続ける

 企業経営にデータの重要性が指摘されるようになって久しい。データサイエンティストという職業も、国内での人材不足といった話題でよく耳にする。高度な技術を駆使するスペシャリスト、というイメージが強い。

 本書は、データ分析の手法を伝える専門書ではなく、データ分析を行う上で必要な思考方法を解説している。データ分析で一番重要なのは、コミュニケーション。現場が抱える課題のヒアリングから、経営層が正しい判断を下すために必要としている情報をいかに分析すべきかという道筋が見えてくるのだという。データという数字と向き合う仕事が、コンサルティングを最も重視しているのが意外に思えた。

 エンジニアなどの専門職ではないビジネスパーソンにとっても、働き方や自身のキャリアパスを考える上で示唆に富んだ内容になっている。変化が激しいビジネスの現場で、柔軟な思考と多角的な視点を持つためには、慣れた仕事のルーティーンで満足せず、自分の価値を最大化する努力を惜しまないことが必要だ。

 社会にとって価値を生み出す人材であり続けるためには、生きている限り学び続ける謙虚な姿勢が求められている。(緑)
 


『外資系データサイエンティストの知的生産術』
山本康正、松谷 恵 著
東洋経済新報社 刊 1980円(税込)
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