昔の天気予報といえば「ミリバール」
「[保存]ボタンが何を模したアイコンなのかわからない(フロッピーディスクのこと)」といったように、世代間ギャップを痛感させられるエピソードは枚挙にいとまがないが、ミリバールという言葉にも、昭和をにおわせる独特の響きがある。
念のために解説すると、ミリバールとはかつて使われていた気圧の単位だ。バールという圧力の単位があり、その1000分の1だからミリバール。台風シーズンになると、天気予報で「台風の中心気圧は960ミリバール」といったフレーズがよく聞かれるものだった。
世界的に国際単位系(SI)への移行が進められる中、気象分野でも非SI単位であるバールの使用を中止し、圧力のSI単位であるパスカルへの切り替えが各国で行われた。「1バール=100000パスカル」の関係にあるため、複雑な計算をしなくてもケタ数の調整だけで双方は容易に変換可能。「ヘクト」は100倍を表す接頭語で、ミリバールはヘクトパスカルに等しい。1992年12月1日、日本の天気予報で気圧の呼び方は一斉にヘクトパスカルへ切り替わった。
それから、はや33年である。最初はずいぶん珍妙に聞こえたヘクトパスカルも完全に耳になじんだ。30代以下の読者の方には、本稿が何を懐かしんでいるのかすら理解不能だろう。(螺)
由来
国際単位系への移行にともない、日本では1992年12月1日、気象分野における気圧の単位をミリバールからヘクトパスカルに変更した。