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PCカメラの販売動向 PC専門店で静かなブーム

2002/03/25 16:51

 PCカメラがパソコン専門店で静かなブームになっている。総務省はADSL接続ユーザーが200万人を突破し、今後この数はさらに拡大していくと予測している。ブロードバンド(BB)環境の家庭への普及で、個人によるパソコン利用は、常時ネット接続対応のアプリケーションが中心になりつつある。その最有力が、ビデオチャットやビデオメールだ。PCカメラを装着することで、チャットアプリケーションを利用し、テレビ電話のような使い方が可能になる。BCNランキングでPCカメラの販売動向を追った。

ロジクールがトップシェア

 携帯電話では、J-フォンの「写メール」を筆頭に、NTTドコモなど大手キャリアが画像サービスを開始している。また、パソコンを使ったチャットサービスは、携帯電話によるサービス以前からあったものの、従量制の電話料金がネックとなり、爆発的な普及には至らなかった。それがBB環境の普及により、ようやく本格的に広がり始めた。パソコン環境での代表的なチャットサービスは、マイクロソフトの「ネットメッセンジャー」やAOLの「AOLインスタント・メッセンジャー」、ヤフー!の「ヤフー!メッセンジャー」などがある。会員登録をすれば無料で利用できることから、利用者数は拡大している。さらに、パソコンに取り付けるだけで相手に画像情報を送信できるPCカメラが、その普及を後押ししている。

 BCNランキングによると、店頭PCカメラ市場の販売台数シェア分布では、ロジクールが46.2%(3月4-10日)で圧倒的なトップシェアを獲得している。これに、クリエイティブメディア、NHジャパンホールディングス、加賀電子、サンワサプライが続いている。PCカメラは、市場規模からいえば、パソコン市場全体に大きな影響力をもつ製品ではない。しかし、市場は確実に拡大傾向にある。BCNランキングによる販売台数の推移をみると、前年比(3月4-10日)で123%増、販売金額では71%増と、前年の約2倍の規模となった。同市場に参入しているメーカー数も前年は11社だったが、現在では新たに9社が加わり、計20社となっている。

 PCカメラ市場で首位を走るロジクールも、実は新規参入組の1社。米国でインターネット用ビデオカメラ市場でナンバーワンシェアを獲得するという実績を引っ提げて日本市場に参入した。BCNランキングで販売台数シェア1位(3月4-10日:32.5%)を獲得する「Qcam Express With Head-Set(キューカムエクスプレス ウィズヘッドセット)」は、コストパフォーマンスの良さが好調に結びついた製品だ。キューカムエクスプレスは、クリック1つで動画や静止画を撮影し、撮影した画像を自動的にサムネイルで確認可能な形式で保存ことができる。ホーム用ビデオカメラと比較すると、画像ファイルのサイズが小さく、アナログモデム環境でもビデオメールの送受信が可能だ。

 接続インターフェイスにはUSBを採用しており、ビデオキャプチャカードなどの装着は不要。セットアップは、USBコネクタに接続するだけで完了する。さらに、付属の液晶モニタ用クリップを使用することで、ノートパソコンや液晶モニタに簡単に取り付けることができる。付属の動作検知ソフトウェア「Digital Radar(デジタルレーダー) II」は、カメラの撮影範囲で動きのあった被写体を自動的にビデオ撮影して保存できる機能を搭載しており、監視目的などセキュリティ向けとしても使用できる。自動撮影では、被写体の動作検知感度をマニュアルで設定することもでき、撮り過ぎによるディスクメモリの使用過多を防ぐことが可能となっている。(谷古宇浩司)

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