店頭流通

九十九電機 万引き防止策が奏功 被害額が10分の1以下に

2002/04/01 16:51

週刊BCN 2002年04月01日vol.935掲載

 

 九十九電機(鈴木淳一社長)は、万引き防止策として、2001年7月から警備専門会社のエス・エスサービスと契約しており、約8か月間で東京・秋葉原での万引き被害額が10分の1以下に減った。エス・エスサービスの警備は私服で見回る方式をとっている。また、店舗の従業員向けに防犯対策のコンサルティングも実施している。九十九電機では、秋葉原地区の店舗だけでなく、地方の店舗にもリアルタイムで防犯対策の情報を流すなどの試みも行っている。

 九十九電機第1営業本部販売促進部・後藤大和部長は、「秋葉原電気街では、治安が次第に悪くなっている。自己防衛しなければ、被害をなくすことはできない」と話す。

 同社では、秋葉原地区を中心に昨年7月から警備専門会社のエス・エスサービスに警備を依頼し、万引きの防犯体制を強化した。

 エス・エスサービスでは、各店舗に私服警備員を配置。加えて、万引きに関する防犯対策のアドバイス、店内における日々の様子、実際に店内で起こった万引きや未遂などをレポートとして九十九電機に提出している。

 エス・エスサービスのセキュリティ事業部・佐藤邦彦業務部長は、「パソコン専門店や量販店では、万引きによる被害額が売り上げを圧迫している状況にある。秋葉原では、1店舗あたり月平均で数十万円から数百万円の被害がある」と分析している。

 「万引きによる売り上げロスをなくすことが当社の役目。私服にした理由は、犯人を捕まえるという最終目的も業務に入れており、正体を知られてはまずいため。常習犯の場合、私服でも警備員だと分かるため、逆に、制服警備と同じアピール効果がある」と私服警備の有効性を話す。

 九十九電機では、「レポートを各店舗の店長に報告することで防犯体制を強化している」(後藤部長)という。店舗では1日3回、防犯に対するチェックも行っている。

 基本的な万引き防止策としては、店舗の各フロアに防犯ゲートを設置している。これが作動した場合は、「ほかのお客さんの対応で忙しかったり、声をかけづらそうな場合でも、100%声をかけることを店員に徹底している」(後藤部長)という。

 正規に購入したにも関わらず防犯ゲートが作動するというトラブルが発生するケースもある。こうしたケースでは、「九十九電機の紙袋をもっている場合」、「ほかの店舗の紙袋をもっている場合」、「紙袋をもっていない場合」で対応の仕方を変え、来店者に不快感を与えないように細心の注意を払っている。

 こうした取り組みにより、万引きによる被害額が約8か月間で10分の1以下となった。

 後藤部長は、「万引きを100%なくすことは、いくら対策を強化しても難しい。しかし、出来心で行ってしまったような万引きは防ぐことができる」と強調する。
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