全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>91.茨城県つくば市(上)

2005/09/05 18:45

週刊BCN 2005年09月05日vol.1103掲載

 茨城県つくば市では、つくばエクスプレスの開業で家電量販店への来店者が増える可能性が出てきた。

秋葉原電気街が競合地区に

 つくば市には、ヤマダ電機や石丸電気、ギガスケーズデンキ、コジマなど大手量販店が店舗を置いている。どの店も広い売り場面積を誇る大型店。広大な駐車場もあり、つくば市の住民だけでなく、近隣の土浦市などからも多くの顧客が来店している。ギガスケーズデンキの「ケーズデンキつくばセンター店」の近くには、大型ショッピングモール「ララガーデンつくば」があり集客力が高い。石丸電気の「つくば店」の近くには、イベントが開かれる国際会議場がある。こうした立地条件を生かし、つくばエクスプレスを利用してショッピングモールを訪れたり、国際会議場のイベントに参加した県外からの来訪者が量販店に立ち寄るという現象が起きることになるだろう。

 一方、組立パソコン用パーツの販売を中心としたショップにとっては、つくばエクスプレスが来店者を激減させる原因となるかもしれないと不安を見せる。アロシステムが運営するBTO(注文生産方式)パソコンの販売を〝売り〟にする「パソコン工房つくば店」は、「つくばエクスプレスの開通で、(沿線住宅地の)パソコン初級者や中級者の来店が増える」(藤田博征店長)と期待する一方で、つくばエクスプレスで秋葉原とつくば市が最短45分で結ばれるようになったために、「市内のパーツユーザーが、近くなった秋葉原電気街に流れる」(同)ことを危惧する。

 パソコン工房つくば店は競合店のケーズデンキつくば店と同様、ララガーデン近くに店を構えている。そのため、「来店者の50%以上を家族連れが占め、なかでもパソコン中級者が多い」(藤田店長)という。その多くがパソコン購入を目的としているが、ケーズデンキが近くにあるため、「ほとんどは価格の安さで購入を決めている」(同)という。リピーターとなる優良顧客が少なく、「パソコンの売上構成比は全体の30%程度」(同)と、来店者数の割には販売額が少ないことが悩みだ。

 一方、パーツユーザーは自分が欲しい商品に関しては、出費を惜しまず購入するという。そこで、「パーツの品揃えが中途半端では、つくば市のユーザーを秋葉原電気街に奪われる」と、品揃えには万全を期す。さらに、「関東地区のパソコン工房をツートップに変える」(大野三規社長)方針から、アロシステムではパソコン工房つくば店をパーツ専門店の「ツートップつくば店」として近く業態変更する予定だ。

 ツートップであれば、秋葉原にも店舗を構えているため、「秋葉原価格を徹底」というキャッチフレーズで優良顧客であるパーツユーザーを囲い込める。(佐相彰彦)
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