店頭流通

サードウェーブ 専門性をとことん追求 ニッチな製品・サービスで差別化

2007/10/01 18:45

週刊BCN 2007年10月01日vol.1205掲載

 上級者向けパソコン専門店のサードウェーブ(尾崎健介社長)は、専門性を徹底的に追求、ニッチな製品・サービスの提供で差別化を図る。規模拡大を目指してパソコン専門店や家電量販店の業界再編が進んでいるなか、他社には真似できないビジネスを手がけることで優位性を確保する方針。

 同社は、今年7月3日付で尾崎健介氏が社長に就任。新社長のもと、これまでと変わった点は「組織体制をフラットにした」ことという。1社員が複数の組織を兼務するという従来体制を変更、「個々の社員が単一の組織に属し業務に専念できるようにした」。加えて、社員のモチベーションを高めるため「業績連動型で能力主義の人事制度を取り入れた」としている。

 こうした社内変革は、スペシャリストを揃えることによる専門性の追求にもつながる。もともと同社運営の「ドスパラ」は、組立パソコン用パーツをはじめとしてBTO(受注生産方式)パソコンの販売など、パソコン専門店のなかでも上級者を対象としたショップとしてビジネスを展開してきた。最近では、「オンラインゲームユーザーをはじめパソコンが趣味になっているお客さんを対象としてパソコン本体や周辺機器の販売に力を入れている」。大手パソコンメーカーの製品では吸い上げられないニーズに対応することで他社との差別化を図ってきたため、さらに専門性を強化するには「しっかりと強みを生かしていくことが重要」と判断した。

 また、個人向け事業だけでなく法人向け事業でも「ニッチなソリューションを提供していく」という。LinuxなどOSS(オープンソフトウェア)を搭載したサーバーを中心に「研究機関をはじめとして、映画や音楽など特殊なニーズに小ロットで対応する」。法人向け事業は全社売上高の1割程度に過ぎないが、「(業績を伸ばすうえで)ポテンシャルがある」としている。

 家電量販店やパソコン専門店では業界再編が進む。しかし、「ユーザーに対して良い商品を提供するための再編という意味合いよりも、規模拡大という思惑のほうが強いともいえる」との見方を示す。

 そんな風潮のなかで、他社との差別化を図るため、対象ユーザーをきちんと絞り込むといった戦略で業績拡大を目指す。売上高については、「2ケタ成長を維持する」としている。
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