日本ヒューレット・パッカード(小出伸一社長)は今年度(2009年10月期)の下期、「50%コスト削減」をキーワードにビジネス向けでインクジェットプリンタにフォーカスした販売戦略を展開する。経済不況下でコストセーブできるインクジェットプリンタの引き合いが増加し、昨年度下期は販売台数が前年同期比で2倍に伸びた。この旺盛な需要を追い風にして市場を拡大するため、従来のディストリビュータ経由販売とは別に家電量販店ルートを開拓し、キヤノンやブラザー工業などと競合する「SOHO市場」を攻める。

 日本HPは、05年後半から国内で企業向けインクジェトプリンタの販売を本格化した。昨年は欧米で発売中の機器を国内に多数投入。同社はレーザープリンタ販売も行っているが、「ユーザー企業のコスト削減意識が高く、ビジネス向けインクジェットプリンタの需要は旺盛だ。国内には100万台の市場がある」(挽野元・執行役員)とみている。筐体コストが高いレーザープリンタと給紙容量が低い家庭向けインクジェットに代わる「第三のプリンタ」として、SOHOを中心に企業向けへの販売に力を注ぐ。

クリックで拡大 同社のインクジェット機は、「インク量コントロール」でインク消耗を25%削減でき、Webページの必要な部分だけをレイアウトしてプリントする「HP Smart Web Printing」でランニングコストを35%カットできるなどのコスト削減機能が充実している。そこで「使用中のプリンタに比べ『50%コスト削減』できるメッセージを積極的に発信する」(挽野・執行役員)という戦術を展開する。

 販売攻勢をかけるインクジェット機は、モバイルタイプのA4プリンタ「Officejet H470」から大判プリンタまでに至る。大判を除くインクジェット機では、新たに店頭販売ルートをつくる。店頭販売に加え、量販店の「法人営業部」から流通するルートを構築する。大判については、同社で「プリントサービスプロバイダ」と呼ぶポスターなどPOP印刷を店頭で展開する店舗に対してディストリビュータ経由で販売していく計画だ。具体的な目標台数は公表していないが、05年から08年にかけて販売台数が約6倍に伸びたことから、この勢いを維持、またはそれ以上の成長を目指す。(谷畑良胤)