店頭流通

ソニー、コンパクトデジカメ 年末商戦でトップグループ入り目指す

2009/09/29 18:45

週刊BCN 2009年09月28日vol.1302掲載

 コンパクトデジタルカメラ市場が、販売台数、金額ともに前年割れの状況が続くなか、各社は高速連写や高倍率ズーム、防水など、新たな付加価値モデルの投入に力を入れ始めた。ニコンがプロジェクタ搭載モデルを発表するなど、今秋の新モデルでは、従来にない切り口による差異化機能を打ち出している。ソニーは、暗い場所での撮影機能を強化したサイバーショットの新製品を起爆剤に、年末商戦でトップグループ入りを目指す。

暗所に強いサイバーショットを起爆剤に

 ソニーは今秋の新製品として、暗い場所での撮影を強みとする2モデル、サイバーショット「DSC-WX1」「同TX1」を発売。失敗しやすい室内や夜景撮影に対する不満点を解消した。この機能を実現した裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」は、「他社には量産できない」(下野裕・コンスーマーAVマーケティング部門デジタルイメージングマーケティング部統括部長)ため、この技術を強みに他社製品との差異化を図り、買い替え需要を掘り起こす狙いだ。

 また、カメラ目線ではない自然な表情に着目。自動的に被写体の顔を見つけ出し、構図とタイミングを考えて自動撮影する別売の周辺機器「Party-shot(パーティーショット)」も揃え、さりげないシーンの撮影と新しい写真の楽しみ方を提案する。

「Party-shot」(下)に「WX1」を乗せるとさりげないシーンを自動撮影

 BCNランキングによると、コンパクトデジタルカメラ市場は、カシオ計算機、キヤノン、パナソニックの上位3社が、それぞれ販売台数シェア15~20%前後を占めながら推移。ソニーのシェアは10%前後で、トップグループに10ポイント前後の差をつけられているが、今回の新製品を起爆剤に、年末商戦でのトップグループ入りを目指す。

 新製品の強みをアピールするために、売り場には簡易型の「暗所ボックス」を設置。店員が説明しなくても、ボックスを覗くことで撮影性能を体感できるようにする。そのほか「思わず写真を撮りたくなる瞬間」を提案するために、「水のない水族館をつくろう」をテーマにテレビCMなどの広告展開を行うなど、サイバーショットだけでなく、デジタルビデオカメラ「ハンディカム」やデジタル一眼レフ「α」を含め、同社のブランドイメージ戦略を強化していく。(田沢理恵)

下野裕 コンスーマーAVマーケティング部門 デジタルイメージングマーケティング部統括部長
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