これまでにない価値を生み出す
約600年続く由緒ある寺に生まれた。将来の進路について、親からは公務員の道を勧められていた。「古くからの文化や慣習が嫌いというわけではない。ただ、安定した道に進むことが本当にいいとは思っていなかった」と振り返る。
子どもの頃から「これまでにない価値を生み出したい」と考えていた。大学時代には「今までにない概念のビジネスやサービスを自らがつくりたい」と明確に起業を意識するようになった。
その後、コーポレートベンチャーを設立できるインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。社内ベンチャー制度を活用して最年少で1億円の資金調達に成功し、MyReferを創業した。
インテリジェンスを選んだのは、同社の創業者で、現在はUSEN-NEXT HOLDINGSの社長CEOの宇野康秀氏や、社員からサイバーエージェントを設立し、社長を務める藤田晋氏に影響されたためだ。
リファラル採用が徐々に浸透
現在、リファラル採用を実現するSaaS型サービス「MyRefer」を提供し、700社以上が利用している。創業当時、「日本ではリファラル採用は根付いていなかった」が、マッチング率が高く、離職率も下がって採用コストが抑えられることから徐々に浸透しているという。
終身雇用や年功序列、出る杭は打たれる、失敗は悪などという文化が「日本の競争力を阻んでいる」とみる。だからこそ、サービスによって「既存ルールを破壊し、人と人のつながりを生かした採用や転職を実現する」との思いは強い。
HR Techの領域で新しいインフラをつくる
MyReferに加えて、優秀な人材の獲得を実現する新しいサービスも提供。当面の目標は「HR Techの領域で新しいインフラをつくる」こと。「採用関連のホームページやオウンメディアなどでブランド力を高め、インバウンドリクルーティングを実現するサービスの開発も視野に入れている」といい、これからも新たな価値の創出と提供にまい進する考えだ。
プロフィール
鈴木貴史
1988年、和歌山県生まれ。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社、同年、全社新人賞を獲得。14年、社内ベンチャー制度でインテリジェンス最年少で1億円の資金調達。15年、MyReferを創業、グループ歴代最年少でコーポレートベンチャーCEOに就任。18年、U-NEXTの宇野康秀会長(USEN-NEXT HOLDINGS社長CEO)、グリーベンチャーズ(STRIVE)などを引受先とする総額3.6億円の資金調達を実施、MBOスピンアウト。同年、MyReferの代表取締役社長CEOに就任。
会社紹介
「MyRefer」をはじめとしたHRTechサービスの企画、開発、運営、採用戦略コンサルティングなどを展開。日本におけるリファラル採用の普及に取り組んでいる。