「それ面白いじゃん」に喜び
中学時代、文化祭の出し物づくりに熱中したのが今の仕事の原点だ。何か新しい企画を考えて、周りから「それ面白いじゃん」と言われるのが何よりの喜び。大学入学時点では、企画の仕事の最高峰と思っていた、地上波キー局のプロデューサーになることを目指していた。しかし、ほどなく放送業界に陰りが見えてきた一方で、学生ベンチャーなど若き起業家たちが世の中をにぎわせる時代へと変わりつつあった。「企画をやりたいならもはやテレビではない。起業しかない」。
営業力では仕事を取らない
社内では、営業力でなく企画=プロダクトの力で勝て、と号令をかけている。「営業力で取ってきた案件は、そのあと伸びない。プロダクトのことを本当に理解してくれた顧客とだけ契約できればいい」。
ソリューションを届ける先は、華やかなスポーツ、エンターテインメント業界。営業担当者のコミュニケーションスキルで仕事を取ってくる世界に思えるが、「西麻布(東京)でウェイウェイするような文化は、自分には無理」。
それでも、エンタメ出身ではない、テクノロジー・オリジンな会社のサービスだからこそ、業界になかった優れたユーザー体験を提供できると考えている。
Web3の世界は必ず訪れる
自分がいなかったらこの世に生まれなかったと言われるほどのものをつくりたい。すぐにはやるものより、5年、10年先になって当たり前に使われるサービスがつくれたら理想、と語る。
新しい当たり前を創造するため、エンタメ業界が避けて通れないと確信しているのが、ブロックチェーン技術を基盤とする「Web3」の世界。投機目的のトークンの取引にはまったく否定的だが、この混乱期を過ぎれば、ファンとアーティストが、プラットフォーマーに支配されることなく直接つながる時代が必ず来る。そのときを想定した技術の開発は順調だ。誰よりも面白い企画を見せつける瞬間が近づいている。
プロフィール
伊藤圭史
1985年生まれ。上智大学文学部卒業後、IBMビジネスコンサルティングサービス(現日本IBM)に入社。2011年、オムニチャネルに特化した戦略コンサルティングを手がけるLeonis&Co.を設立。14年に同社をトランスコスモスへ売却後、17年にplaygroundを設立、代表取締役に就任。
会社紹介
興行運営のデジタルトランスフォーメーションを包括的に支援するクラウドサービスを提供。電子チケット発券サービス「MOALA Ticket」を中心に、コンテンツ販売、来場者管理など、スポーツ、エンターテインメント業界に特化したサービス開発を行っている。