競争の源泉は人
「ものづくり大国」と評されるように、製造業は日本を支える重要な産業だが、近年はグローバル競争に遅れを取るケースが目立ち、衰退への危機感が漂う。原因の一つは、人材への取り組みの違いだと感じている。大学卒業後、化学メーカーに就職した。国内メーカーはOJTが主体でいわゆる「背中を見て学ぶ」のが当たり前。一方、海外の大手メーカーでは、共通の教育プログラムを全社展開するなどシステマティックな人材育成を進めていた。「日本にもこういった仕組みを作らなければさらに厳しくなる」。その思いが「競争力の源泉は人だ。人づくりに関わり、製造業を支える」との決意につながった。
大きなビジョンを描く
自社サービス「SKILL NOTE」は製造業向けに、従業員のスキルの可視化や育成計画の立案といった機能を提供する。「製造業は新しい付加価値を提供できるかっこいい仕事だが、最近は働く人が成長を実感できないなど閉塞感が広がる。サービスを通じて(製造業に)携わる人が生き生きと充実して働ける世の中を作りたい」
現在は、大手メーカーを中心に利用企業が急増している。「成長の手応えは感じているが、軌道に乗ったとは思っていない。まだこれからだ」という。そこには「目線を下げて満足してはいけない」という経営者としての思いがある。「私の仕事はビジョンを描くこと。範囲が決まっていると会社の成長もその中で収まってしまう。大きなビジョンを目指す企業でなければならない」。目指す先はさらに上にある。
世界一を目指す
今は「日本発、世界一のソフトウェアサービスを作り出すこと」を目標としている。「お客様はグローバルで激しい競争をしている。当社もスタートアップだからといって甘えるのではなく、共に世界一を目指さなければいけない」と力を込める。
製造業が好きで生涯、携わっていくと決めている。日本の製造業の復活を信じて走り続ける。
プロフィール
山川隆史
1972年生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、信越化学工業に入社。電子材料事業本部にて新規技術のビジネス開発や開発品の市場開拓などに従事。2006年3月に製造業の人材育成を支援する会社を創業。その後、16年に1月にイノービア(20年9月にSkillnoteに社名変更)を設立、代表取締役に就任。
会社紹介
製造業向け人材スキル管理システム「SKILL NOTE」を開発、提供する。従業員のスキルの可視化、育成計画の立案、進捗管理、記録、分析が可能。計画的な育成と配置、技術力や品質向上、プロジェクトの立上げなどを支援する。