これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「フェアリーデバイセズ・藤野真人・代表取締役」を取材しました。
スタートは「敗戦処理」
もともと情報科学を志していたが、知人が病気になったことをきっかけに生物情報工学に転身。両方の分野に精通した結果、当時としては珍しかったバイオインフォマティクス人材として頭角をあらわし、大学内の創薬ベンチャーからスカウトを受ける。目指していたのは研究者だったが、経営体制の問題から社長の役が回ってくる。最初のミッションは“会社清算”。敗戦処理ともいえるタフな業務が経営者人生のスタートだった。
フェアリー的なアプローチ
社内ではしばしば「フェアリー的な」というキーワードが飛び交う。「役に立つだけでなく、温かみがあるか」との意味の社内用語だ。現在は現場作業員の映像と音声を本部にリアルタイムで配信する首掛け型ウェアラブルデバイス「THINKLET」を主力製品として展開する。「人間と機械を自然につなぐ」というビジョンはさまざまな業界で共感を得ており、理想とするフェアリー的な状況の実現を目指している。
読み取る力が武器
昔から読み取る力に長けていた。機械やソフトウェアを触っていると、設計者の「顔が見える」ことがあった。人との関係でも、相手の話の本質を読み取ることが得意で、それが経営者としての武器になっている。エンジニアとして製品に温かみを吹き込むように、拡大期を迎えている会社に情熱を注ぎ込んでいく。
プロフィール
藤野真人
1981年生まれ。2005年に東京大学農学部生物情報工学研究室を卒業。在学中に創薬ベンチャーの立ち上げに参加。07年にフェアリーデバイセズを設立、同年東大大学院医学系研究科医科学専攻を退学。同社代表取締役のほか、日本電産の非常勤顧問や先駆的ICTに関する総務大臣懇談会の委員も務める。
会社紹介
音声認識や自然言語処理に関連する技術を用いた音声認識対話システム「Tumbler」や首掛け型ウェアラブルデバイス「THINKLET」などを開発。ヒトとAI・機械の懸け橋となることを目指し、多業界に現場DXを支援するソリューションを提供している。