これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「ClipLine・高橋勇人社長」を取材しました。
世の中に役立つ仕掛けをつくる
長年、コンサルタントとして、大手外食チェーンなど多店舗展開する企業の経営を支援してきた。業態の似た企業を支援していく中で「この問題はこうした形で解決できる、と自分の中で体系化できるようになった」と振り返る。将来、コンサルタントを生業としていく道もあったが、自らの経験やノウハウを生かし、「世の中の役に立つ仕掛けをつくりたい」。そんな思いがふつふつと芽生えた。
起業する際、決めていたことがある。それは「ITと動画を組み合わせたソリューションを提供すること」。これまでの経験から、飲食店をはじめとしたサービス業のマネジメント上の課題を解決する手段として、動画が有効だと感じていたからだ。そして生まれたのが動画型マネジメントシステム「ClipLine」だった。「私の知る限り動画を活用して経営改革を進めたという企業はあまりない」。だからこそ、挑戦の甲斐があり、ビジネスチャンスも大きかった。
「できる」をふやす
自社のミッションに「『できる』をふやす」を掲げる。「人はできなかったことができるようになると喜びを感じる。多店舗展開している企業の多くはBtoCのモデルであり、人々の生活に密着しているので、店舗スタッフのできるが増えることで、社会が良くなる」という強い思いがある。新規事業の立ち上げなどチャレンジを続けている。「失敗することも多い」と笑うが、「失敗がないのは、チャレンジしていないということだ」と、常に前を向き会社をリードしている。
日本から世界に
多くの大手企業がサービスを利用するなど成長を遂げているが、「現場で働く人たちのクオリティオブライフを上げることが目標のため、導入社数も社会的インパクトもまだ足りない」と、現状には満足していない。
日本のサービス業は世界と比較しても高水準とされ、その中で揉まれて、つくられてきたITサービスであることに自信を持っている。今後はグローバル展開にも取り組み、日本発のITサービスとして成功を目指す。
プロフィール
高橋勇人
1975年生まれ、東京都出身。京都大学大学院理学研究科卒業後、99年にアクセンチュアに入社。2003年、ジェネックスパートナーズに入社し、外食チェーンやアミューズメントチェーンの経営コンサルティングを手掛ける。12年、ダイヤモンドダイニングの社外取締役に就任。13年ClipLineを設立。
会社紹介
多店舗展開する企業向け動画型マネジメントシステム「ClipLine」を開発・提供する。本部から手本となる短尺動画を社員に発信したり、現場の社員からスキルの取得具合や店舗の状況などを投稿、動画を用いて多店舗ビジネスの課題を解決する。レポート機能やアンケート機能など幅広い機能も搭載。大手外食チェーンや小売りなど多くの店舗で導入されている。