これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「idemo・塩野涼太代表取締役」を取材しました。
父親の鉄工所でセオリーを学ぶ
今の時代、企業経営には経営管理や資金調達のノウハウのみならず、「プログラミングの知識が欠かせない」と考えた。プログラミングのスクールに通って勉強するとともに、インターンで実務経験を積む傍ら、父親が経営する小さな鉄工所のIT化による業務改革にも取り組んだ。
紙やファックスでやりとりしていた図面や請求書、見積書をデジタル化し、事務管理用のデータベースも整備。「父親に協力してもらいながら、ITを活用した中小企業における業務改革のセオリーを学んだ」。
中小企業のIT化の遅れは根が深い
「中小企業のデジタル化や業務改革の遅れは根深いものがある」と感じた。例えば、鉄工所のシステム構築で課題となったのはプログラミングに工数がかかりすぎ、中小企業のIT予算や業務変革にかける時間の制約を乗り越えられない。
そこで着目したのが「Bubble」や「AppSheet」などのノーコード/ローコードのツールである。手組みの3分の1の工数で済み、「これなら中小企業の要望に十分に応えられる」と手応えを感じ、2020年に新規事業や業務改革を支援するidemoを立ち上げた。
大手やスタートアップもターゲットに
父親の職人としての腕前はすばらしいものがあり、発注元の大手重工会社の抜き打ち品質検査でも常に上位に入るほど。「日本にはすばらしい職人がいて、その多くが中小企業で勤めている」。デジタル化の支援によって「職人の生産性や付加価値が高まり、経済全体の活性化につながる」との信念で自社の経営に臨む。
中小企業向けの手法が通用するのであれば、他にも大手ユーザー企業の新規事業の立ち上げや、スタートアップ企業の創業支援にも応用できる。将来的にはidemoの傘下にさまざまなサービスを手がける事業会社を立ち上げ、「世の中を変えていきたい」と志を語る。
プロフィール
塩野涼太
1998年、大阪府生まれ。大和大学中退。2020年、idemo(アイデモ)を起業。
会社紹介
ノーコード/ローコードのツールを駆使して新規事業の立ち上げや業務改革の支援に取り組む。中小企業に焦点を当てたサービス開発にも力を入れる。従業員数は5人。本社所在地は大阪府八尾市。NTT西日本のオープンイノベーション施設QUINTBRIDGE会員。