これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「八楽・坂西優・代表取締役」を取材しました。
頭を殴られたような衝撃
「頭をガツンと殴られたような感じがした」
大学卒業後に渡った米国での体験をこう表現する。さまざまなバックボーンを有する人々との対話は、自身の見え方とは違う、斬新な世界を浮かび上がらせた。異文化とのコミュニケーションは「人生を、社会を豊かにする」。同じ経験を誰もが得られるようにしたい。それがAI翻訳プラットフォームビジネスの原点だ。
コロナ禍は移動を困難にさせた一方、ビデオ会議やチャットといったデジタルコミュニケーションの利用を広げ、海外の人と気軽にやり取りできる機会を増やした。精神的な距離はむしろ縮んだといえる。その意味で「地球が“小さく”なっていくことは間違いない」。
対面の価値を大切に
社内は多国籍な人員で構成され、自身も含め国外からリモートワークで働く人も多い。それでも3カ月に1度は、できる限りリアルで一堂に会する機会を設けている。
「リモートを続けるからこそ、対面は不可欠」。リモート環境では必要最低限のやり取りだけで済ませがちだが、それではコミュニケーションが広がらない。定期的に直接対話し、人となりを知ることで、リモートでも気軽に、活発に意見を交わせる環境が生まれる。テクノロジーが進化し、どこからでも、誰とでもコミュニケーションできる時代だけに、より対面の価値が大切になる。
誰でも手軽に翻訳を
海外とのコミュニケーションにおいて言語の壁は避けて通れない。これまでの翻訳サービスは人力に頼る部分が多く、高価になりがちだった。AIを用いることで「価格破壊を起こしたい」。思い描いているのは、中小企業でも手軽に翻訳サービスを用いて海外とビジネスができる社会だ。将来的には、あらゆるコミュニケーションツールと自社のプラットフォームの連携を目指す。その先にはきっと、新しい豊かな世界が待っている。
プロフィール
坂西 優
福岡県出身。早稲田大学卒業後、渡米。オンラインマーケティングの仕事に数年携わった後、日本に帰国し、2009年8月に八楽を設立。
会社紹介
AI翻訳から編集・共有、翻訳会社への発注までワンストップで提供する翻訳プラットフォーム「ヤラクゼン」を提供。ヤラクゼンおよび機械翻訳エンジン開発で培ったノウハウ・リソースを活用したAI関連の研究も行う。