これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「フライウィール・横山直人代表取締役」を取材しました。
経営者になる未来は描いていなかった
会社を経営することになるとはまったく思っていなかった。文系出身で、技術系の素養があったわけでもなかった。
転機は大学時代。一般への普及が始まろうとしていたインターネットに触れ、これは世界を変える技術になると確信した。
大学卒業後、米国の大学院でコンピューターアートを専攻し、帰国後はNTTドコモに入社。同級生からは、通信事業者という面白みのない伝統企業への就職と見られたが、コンピューティングリソースを消費者のポケットに実装するというコンセプトの実現では、世界で最も先を行っているのが携帯キャリアだと考えていた。
GAFAも企業の課題を解決できていない
世界を代表するIT企業である米Google(グーグル)と米Facebook(フェイスブック、現Meta)の日本法人で事業開発に取り組んだが、日本国内のパートナー企業と会話をする中で、「プラットフォーマーは必ずしも企業の課題を解決できるわけではない」という思いを強くしていった。
米国やアジア新興国の企業は、データドリブン経営を強化し、迅速な意思決定を可能にしている。一方の日本企業は、昔からのデータを抱えているものの、活用できていない。プラットフォーマーは強力なテクノロジーを持つが、巨大がゆえに、個々の企業が抱える課題に対する具体的なソリューションを提供するのは難しかった。
企業がデータでつながる時代が来ている
「データを人々のエネルギーに」を掲げて創業した会社には、GAFA出身の社員も多く在籍する。自身と同じように、巨大企業のビジネスに歯がゆさを感じる一方、データ活用で日本を強くしたいという思いを持った人材が集う。
スタートアップ企業として、技術を今以上に磨いていくことは必須だ。しかし、データ活用の事業を発展させるためには、それと同時に企業同士をデータでつなぐ仕組みが必要だと考えている。
ステークホルダー間のデータを統合すれば、「バリューチェーン全体が強くなり、競争力は一層高まる」。テクノロジーを活用して社会を変える仕組みを実装したいというモチベーションは、初めてインターネットに触れたときから変わっていない。
プロフィール
横山直人
2000年、立教大学経済学部卒業。02年、ニューヨーク大学大学院を修了(コンピューターアート専攻)し、NTTドコモに入社。09年、米Google(グーグル)の日本法人に入社。14年、米Facebook(フェイスブック、現Meta)の日本法人に入社し、パートナーシップ事業の執行役員を務める。18年2月、フライウィールを設立し、代表取締役に就任。
会社紹介
データ、AIを活用した製品の開発・提供と、それらを活用したデータ経営・分析のコンサルティングサービスを展開する。主力製品のデータ活用プラットフォーム「Conata」は、データを整備・処理する基盤と、可視化・分析の機能群を兼ね備えており、大手企業のマーケティング部門などに導入されている。