これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「Medii・山田裕揮代表取締役医師」を取材しました。
医師として、難病当事者として
医師として、免疫難病の当事者として、「世の中を変えなければならない」と強く感じている。知見が蓄積された病気には医師が対応できるようになっているが、難病や希少疾患といった領域には、まだ日が当たりきっていないと認識しているからだ。
一人の医師が助けられる患者の数には限りがあり、専門医偏在の問題もある。全国にいる難病患者を救えるような仕組みの必要性に大きな社会的意義を見出し、専門医の知見をオンラインで共有できる事業を展開している。
夢を信じさせる
経営者として重要視するのは「人のベクトル」。一人ではできなかったことを成し遂げたいという思いから起業したが、理想を実現するための仕組みだけでは、うまくいかない。さまざまな役割を持った人たちが、同じ目的のために同じ方向を向いていることが大切だと考えている。
社内外に対して夢を語ることも、成長のためには欠かせない。「会社の仲間は人生を差し出してくれているし、投資家は可能性にお金を出してくれている。いかに夢を信じてもらえるかが経営者としての価値になる」。
多くの人が活躍できる世界
「患者」の英訳「patient」には「忍耐強い」との意味がある。語源となったラテン語でも「耐え苦しんでいる」ことを指すという。病にかかる「病人」はゼロにできずとも、病から生まれた心身の苦しみに耐える人、すなわち「患者」はきっとなくせる。そのために、自分たちのビジネスで医療現場の負担を減らし、患者にもっと寄り添ったサポートができる環境をつくりたい。
自身も難病と付き合う身であるが、医療によって苦しみを感じずに生活している。全ての人が「病で耐え苦しむ」ことから解放されれば「より多くの人が活躍できる世界がある」。そう信じている。
プロフィール
山田裕揮
1989年、和歌山県生まれ。和歌山県立医科大学卒業後、堺市立総合医療センターで研修。膠原病領域の専門性を身に付けるため聖路加国際病院、慶應義塾大学病院で勤務し、リウマチ膠原病専門医として勤務する。2020年にMediiを創業。現在も日本リウマチ学会専門医、指導医として臨床現場でも活動している。
会社紹介
「専門医偏在問題の解決を目指す」をミッションに、特に課題の大きな希少難病を中心とした専門医知見をオンラインで広げる事業を展開している。臨床疑問を専門医にオンライン相談できる「E-コンサル」を主軸とし、過去の症例スライドを集合知化した「症例バンク」や、診断困難症例を参加型で疑似体験できるオンラインイベント「E-カンファ」を無料で提供する。