これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「KAKEAI・本田英貴社長兼CEO」を取材しました。
主観とは裏腹に
会社員だった30代前半、仕事は順風満帆で、管理職になってからも向上心は衰えず、部下とのコミュニケーションにも積極的だった。当時の会社は上司、部下、同僚など複数人から評価を受ける制度を採用。いい評価がもらえると信じて疑わなかった。
しかし、その思いとは裏腹に届いたのは「あなたには誰もついていきたくないって知ってます?」との匿名コメント。「主観的には上手くいっているように見えたが、相手にとってはそうではなかった」ことに気づかされた。
近年、1on1の面談が社会に浸透している。ただ、上下関係を伴うコミュニケーションは、かつての自身のように、建前や勘違いによる「掛け違い」が生まれやすい。この問題を解決するため、二者間のコミュニケーションを支えるプラットフォームを提供している。
足し算ではなく掛け算する
会社経営で重要視しているのは「行動指針である『正で掛かり合い、和を積で超えよ』を徹底すること」。単にそれぞれの持つスキルを寄せ集めた「足し算」ではなく、一人一人がお互いの力を「掛け算」することで、よりよい成果を生み出すことができると信じている。
自身の役割は、社員同士が掛け算する場を維持していくこと。そのためには、まず自らが経営者として、行動指針を体現していきたい。
人生の可能性を毀損しない
人生において、どのような人と関わることになるかは運次第と言える。自分で働く会社を選んだとしても、そこで働く同僚は選べず、そもそも会社選びにも運が関わる。だからこそ「どこでどんな人と関わったとしても、本人が持っている可能性が毀損される状況をなくしたい」
人の関係を支えるのはコミュニケーションだ。だからこそ、個人間のコミュニケーション不全が改善されれば、理想に近づく。日本という場所も、労働という状況も超え、あらゆる二者間コミュニケーションを変えていく。目指すは「世界のコミュニケーションのインフラ」だ。
プロフィール
本田英貴
1979年、熊本県生まれ。筑波大学卒業後、2002年にリクルートに入社。新規事業開発室などを経て、電通とのジョイントベンチャーで経営企画室長を経験。その後、リクルートホールディングス人事部マネジャーに就任。15年にリクルートを退職後、スタートアップ数社での役員を経て、18年にKAKEAIを創業。
会社紹介
1on1・1対1コミュニケーション支援クラウド「Kakeai(カケアイ)」を開発、運営する。製品は日本だけでなく、ニューヨークやロンドン、シンガポール、香港などでも利用されている。