これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「スマートショッピング・林英俊代表取締役・共同創業者」を取材しました。
デマンドチェーンを形成
自社が提供するIoTサービス「SmartMat Cloud」は、マット型の重量計で測った「重さ」を元に、原材料や部品、完成品などを問わず、あらゆる在庫を可視化する。これを使えば「需要を起点にしたデマンドチェーンを形成できる」
この意義は在庫管理の効率化だけにとどまらない。「デマンドチェーンはモノの流れを最適化する。必要なモノを必要なとき、必要な分だけ届けられる」
例えば、メーカー側で卸業者の在庫を把握できれば、在庫が減った段階で即座に製造・納品することも不可能ではない。在庫が見えれば、需要がわかる。需要がわかれば、生産や物流もより円滑になり、社会のあらゆる無駄が抑えられるだろう。
根本的なニーズに取り組む
自社が掲げる「モノの流れを可視化し、世の中を便利にしたい」というビジョンは、誰もが共感し得る、非常にシンプルで根本的なニーズだ。だからこそ広範な人々を幸福にするポテンシャルがある。
モノをめぐる問題に取り組めば「世界が抱える課題の解決に挑む企業になれる」。モノのあり方を見直すことで、社会は大きく変わると信じている。
特に日本はモノづくりの国である。IoTによって得られたデータを有効に活用し、生産工程を最適化するノウハウを蓄積できれば、日本の産業がより強くなる契機となり、自社にとっても事業規模を拡大するための大きな足掛かりになるはずだ。
1兆円規模の会社に
「イノベーションが起こり続ける組織づくりに取り組みたい」と願う。イノベーションが生まれやすい環境を醸成するためには、組織の中で世の中を変革する責任感と失敗を許容する空気がバランスよく混在していることが理想だ。
「人生をかけて世の中を変える1兆円規模の会社にしたい」
夢のような目標かもしれない。実現を疑う自分もいる。けれど、絶え間ないイノベーションの連続によって、その夢はきっとかたちになるだろう。今後ぶつかる困難も、大きな目標に向けて乗り越えていく。
プロフィール
林 英俊
2005年に京都大学大学院情報学研究科を修了し、ローランド・ベルガーに入社。その後、アマゾンジャパンを経て、14年にスマートショッピングを設立。
会社紹介
IoT重量計で在庫管理や棚卸、発注を自動化するSaaS「SmartMat Cloud」などを開発・提供。主に製造業や医療機関などで利用されている。