これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「GAUSS・宇都宮綱紀代表取締役」を取材しました。
「でっかいことできそう」
高校卒業後、地元の建設会社で鉄筋工として働いていた。ITがブームになった2006年ごろ、「なにかでっかいことができそうだな」とIT業界に興味を持ち、独学でプログラミングを習得。派遣からスタートし大手での正社員勤務を経て、AIの開発に関心を持つ。
競馬は毎週レースが開催されるため教師データが豊富な上、すぐに結果がでるところがAI開発の材料としてぴったりだと考え、競馬予想AIを開発。自身は競馬に興味はなく馬券を買ったことさえないが、AIの精度を上げるために毎週競馬場に通った。根底にある思いは「ユーザーが喜んでくれるものをつくる」。それは、生み出すすべての製品に共通している。
AIでスタンダードをつくる
現在注力するのは、製造業や建設業の現場で働く人の安全を担保するソリューションだ。高精度のAIカメラが、危険行為を察知した場合、作業者にアラートを出すなど、現場で働く人の命を守ることにフォーカスしている。
建設現場で働いていた経験から、生産管理や効率化といった部分は進化する一方、現場の安全に関する対応は、あまり変わっていないのが課題だと感じていた。省人化が進む現場で働く人を守るために「AIで安心安全のスタンダートをつくりたい」と願う。
「顧客のために」が原動力
「顧客が欲しいものより、顧客の役に立つものを提供したい」。AIの汎用化を実現するため、導入した企業内で改善を行い、ローコード開発もできる仕様で提供する。「ただ導入するだけで、使われないと意味がない」とし、活用まで手厚くサポート。顧客の内部に入り込み、何が必要なのか顧客目線で提案することを重視する。
趣味の磯釣りは、釣れないときのほうが燃えてやる気が出る。仕事も同じで、失敗を肯定し、失敗してもめげない。「顧客のために」を原動力に、きょうも情熱を燃やす。
プロフィール
宇都宮綱紀
1980年横浜市出身。高校卒業後、地元の建設会社で鉄筋工として7年間勤務。その後、独学でプログラミングを学びIT業界に転職する。SESを経て2011年富士通に入社。社内コンテストで受賞多数のほか、新規事業を数多く経験。AIによる競馬予想ソリューションを開発し、17年にGAUSSを創業。
会社紹介
AI開発スタートアップ。AI・機械学習の開発・導入・運用プロセスを一元管理するプラットフォームを提供。製造業と建設業向けに安心・安全を担保するサービスが主力製品で、AIカメラ「GAUDi EYE(ガウディアイ)」を展開している。