これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「Hacobu・佐々木太郎代表取締役社長CEO」を取材しました。
アナログな現場に衝撃
起業した2社目の会社時代、乳業メーカーの物流現場を目にする機会があった。そこにあったのは紙の束。集荷依頼や入荷連絡がファクスで送付され、荷物の到着時間も把握できない状況だった。すでに誰もがスマートフォンを使う時代だったが「アナログなやり取りがされていることに衝撃を受けた」。物流といえば宅配をイメージしていたが、企業間物流の方がインフラとして占める割合が大きいことを知った。滞ればすべての生産活動がストップしてしまう。ITの力で企業間物流を効率化したいと、新しい会社の立ち上げを決心した。
現場主義で課題解決を目指す
開発にあたって、物流の効率化に悩む多くの企業を訪れ、何が課題かを聞き取った。物流には多くのステークホルダーが関わる。その間の情報のやり取りがデジタルデータでなければ、処理も分析もできない。トラックが荷物を納入する時間を割り振ってスムーズに荷下ろしができる「トラック予約受付システム」など、目の前の課題を解決できる仕組みを使いながら、プラットフォームに蓄積したデータを分析。現場主義でサプライチェーン全体の物流最適化を目指している。
社会の役に立つからこその突破力
4人の娘の父親であり、家族との時間も大切にしながら仕事にまい進する。仕事へのモチベーションは「社会の役に立つ、大義のある仕事をやっている」という実感だ。これまでの仕事は、なくても困らない事業だったかもしれないが、物流という社会インフラを支える今の仕事は、絶対に必要だとの思いが自身を後押しする。「うまくいかないことがあっても、自分の力を振り絞ってやろうという突破力が湧いてくる」。持続可能な物流システムの実現を見据え、立ちはだかる壁を突破し続ける。
プロフィール
佐々木太郎
1977年生まれ。東京都出身。慶応大学法学部卒、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校アンダーソン経営大学院(MBA)卒業。アクセンチュア、博報堂コンサルティングなど数社を経て、2011年に化粧品サンプルのサブスクサービス事業の企業を創業したのち売却。13年に高級食材専門ECサイトを運営する会社の起業を経て、15年、Hacobuを立ち上げる。
会社紹介
企業間物流の円滑化に寄与するアプリケーションの開発・販売及び物流システムのコンサルティングを手掛ける。クラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」と、物流DXコンサルティング「Hacobu Straregy(ハコブ・ストラテジー)」を展開。