これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「Check Inn・田中健太郎代表取締役CEO」を取材しました。
47都道府県を旅して感じた魅力
旅が好きだ。47都道府県すべてに足を運んだ。四季折々、多彩な魅力にあふれる各地を訪れて「多くの人を集める観光業は、日本の数少ない成長産業だ」と実感した。学生時代に共同創業した会社で、ホテル向けのプライシング業務を経験したことと、エンジニアとしてプロダクトをつくり喜んでもらう仕事をしたいとの思いが重なった。観光の「ハブ」になる宿泊施設のDXを支援するソリューションで起業することにした。根底に「日本の宝である観光を、さらに盛り上げていきたい」との思いがある。
ホスピタリティに注力できるシステム
日本では、宿泊施設が予約サイトを複数併用していたり、自社での予約受付をアナログな紙で管理していたりと、複雑な運用が行われている。一方、海外では予約システムがオールインワンになっているのが一般的だという。「日本でも、コストを抑えつつ誰もが簡単に使うことができて、必要な機能を包括したツールが必要だ」と、宿泊施設向けオールインワンシステムを開発した。コロナ禍を経て観光業が再び盛り上がる中、人手不足は大きな課題だが、「システムの導入で、本来の仕事であるホスピタリティに集中できる」
現場で学び顧客に必要な機能を
先日、有馬温泉(神戸市)に2週間ほど滞在し、現場での仕事の様子を見学した。従業員同士の会話や働く姿から、必要な支援の要素を学んだり、追加する機能のヒントを見つけたりする。宿泊代金は、曜日などによって変動するが、現状は責任者の長年の経験などを基にしている施設が多い。「データによってAIが自動で価格設定できるようにしていきたい」と機能拡張を目指す。「日本一のトラベルテックカンパニーになり、観光で日本を世界一にしたい」と夢を掲げる。
プロフィール
田中健太郎
1997年東京都出身。横浜国立大学理工学部在学中にエンジニア職のインターンを経験。その後、大学を休学してプライシングの企業を共同創業。大学卒業後、楽天にエンジニアとして入社。半年で退職し、2021年Check Innを創業。
会社紹介
サイトコントローラー・PMS・自社予約システム一体型の宿泊施設向けオールインワンシステム「Check Inn」を提供。インバウンド対応のための多言語翻訳、予約システムのスマホ対応などの機能も有する。