これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「xenodata lab.・関 洋二郎代表取締役社長」を取材しました。
AIによる経済未来予測で起業
大学在学中に公認会計士試験に合格したが、実務経験のため監査法人に入ってみて、フロントサイドの仕事をやりたいとの思いが高まった。転職した会社で経済データベースを扱い、当時AIが話題になり始めていたことも重なり、現状分析にとどまらず、AIで経済未来予測をするソリューションの開発を目指し起業した。
自社開発した予測AIは、約2000万本のニュースと3万5000本の統計データを学習し、同時に数万にもおよぶ指標の時系列データを予測できる。経済分野に特化した生成AIと組み合わせて、企業に経営判断の指標となる予測データを提供している。
経営判断のインフラに
扱うのは、原油価格の予測、企業の業績予測などの幅広いデータで、一つの要素だけでなく、複数を組み合わせて予測ができる点が一番の強みだ。予測の精度も指標ごとに公開しており「経済予測では日本一の製品だと自負している」
現状は大手企業を中心に採用されている。企業のAI活用の意欲が高まっていることから、今後、自社のソリューションがより広いレンジの企業で使われていくと予想し「インフラのように、どの企業でも経営の意思決定に欠かせない社会になる」と展望する。
解けない命題に挑み続ける
自社の技術によって「多くの企業が予測データを基に新しい事業にチャレンジできるようになってほしい」と願う。未来を100%見通すことはできない。ただ、思い描く未来の解像度を上げることはできる。
働くモチベーションは、好奇心だ。経済未来予測は正解がなく、どこまで精度を上げられるのか、試行錯誤する日々。仕事が面白く、休日はない。「永遠に解けない命題に挑み続けるのが面白い。一生やりたいと思えることが今できている」。終わりのない挑戦はきょうも続く。
プロフィール
関 洋二郎
1984年茨城県出身。慶応大学商学部在学中に公認会計士2次試験に合格。在学中から監査法人で実務を経験。卒業後の2010年、同3次試験合格。12年、ユーザべースに転職し、経済情報サービスの開発を担当。16年、xenodata lab.を創業。
会社紹介
経済分野特化型の生成AIおよび予測AIを用いて企業の意思決定を支える経済予測プラットフォーム「xenoBrain」を展開。国内で約50万社、新興分野やニッチを含めた2万業界の短期・長期の動向について予測結果を提供するほか、原油やアルミなど原材料価格の市況予測、自社保有データをAIで分析するサービスもある。