これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「Ridge-i・柳原尚史代表取締役社長」を取材しました。
AIを社会に正しく橋渡しする
AIの最先端技術の開発に携わる一方で、その技術を社会や顧客に橋渡しする役割が重要だと考える。「AIは今はやりの技術だが、何ができる技術か、実は正確に理解されているわけではない」。だからこそ、AIを最善なかたちで活用するための支援に力を入れる。
「プロフェッショナル」という言葉が好きで、AI技術の専門家として顧客の変革を成功へ導きたいという思いがある。市場には多くのAI関連のサービスがあるが、自社が提供するサービスは継続率の高さで優位性があると強調する。「狙った結果が出るところまでとことんやり切ることで、顧客からの信頼を勝ち得ることが企業文化になっている」と胸を張る。
専門家同士が交流する場所に
社名の「Ridge」は「山の尾根」を指し、「i」には最高峰に立った時に初めて生まれる「intelligence(知性)」と、頂上を目指す行為を繰り返す「iterative(反復)」の意味を込める。
最高峰とは「それぞれの経路から道を登り詰めた先で交差する場所」であり、「高みに立つことで初めて出会える景色が見え、周りの山々の位置の確認ができる場所だ」。自社も同じように、それぞれの分野を探究した専門家同士が交流し、互いに刺激し合う場所にしたい。そうすることで既存の枠組みを超えた新しい価値を見つけ出し、次に挑むべき領域に向けて歩み出せる。
新しい可能性を追求する
祖母が起業家で、その背中を見て育った。経営者となった今もその姿に刺激を受け、新しい事業の可能性を追求している。
AI関連の事業に加えて、衛星データを活用する事業も手掛ける。まだまだ市場が形成されていない領域だが、将来的には防災や安全保障での活用が期待されている。この領域でも「プロフェッショナルとして顧客の期待を裏切らない最高峰の存在」でありたいと願う。
プロフィール
柳原尚史
1981年生まれ。早稲田大学理工学部を卒業後、NTTコミュニケーションズに入社。コンシューマー向けの新規事業の企画に携わる。その後、エンジニアとしてHSBC Services Japan、ブラックロック・ジャパンなどの金融機関でシステム構築に従事し、2016年にRidge-iを創業。
会社紹介
AI・ディープラーニング技術のライセンス販売をはじめコンサルティング、プロダクト開発を提供する。特に画像やセンサーデータなどのさまざまな種類のデータに対応する「マルチモーダルAI」が強み。人工衛星データを活用したAI解析ソリューションも展開する。