これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「アクトビ・藤原良輔代表取締役CEO」を取材しました。
ベンツに乗る店長に憧れる
高校時代、バイト先だった飲食店の店長が乗っていたベンツがとても格好よく見えた。自動車整備士の専門学校を卒業したあと、就職先のメルセデス・ベンツの正規ディーラーで腕を磨き、同年代で最も多くの公認資格を取得する。
輝いて見えたベンツ乗りの店長のように自分の店を経営したくて、20代前半で脱サラしてダイニングバーを開業。理想をとことん追求しないと気が済まない性分と、持ち前の行動力でぐいぐいと前へ進んでいく。
スマホの普及が転機に
しかし、カーディーラーやダイニングバーの国内市場はすでに成熟しており、伸びしろは限られると感じていたとき、ちょうどスマホが普及してデジタル市場に大きな変化が起きる。「自分の生涯をかけてキャリアを伸ばすならIT業界のほうが適している」と切り替えて、SIerやコンサル会社で7年ほど修行を積む。
いざ働いてみると、ビジネスや業務の改革を支援するコンサルタントの売り上げは、ITエンジニアの数倍にも達し、格差を目の当たりにする。折からのデジタル需要でコンサル価格は高止まりし、エンジニアサイドでは「つくれば売れる」と高をくくって業務改革の手法を学ぼうとしない面があり、両者の稼ぐ力は開いたままだ。
世界市場で成長戦略を描く
「これでは報酬の格差は縮まらないし、いつか需要が一巡したときに立ち行かなくなる」と危機感を抱き、30代に入るタイミングでエンジニアリングとビジネスの両方に長けた人材からなる会社を起業。「やるんだったら徹底的に」とのこだわりから、今年4月にはマレーシアに現地法人を立ち上げて初の海外進出を果たした。
10代、20代のときのように「憧れ」だけで長く同じ仕事を続けるのは難しい。稼ぐ仕組み、キャリアづくり、価値創出の仕組みをしっかりと組み立ててこそ、長く仕事を続けられる。「ゆくゆくは世界各地へ進出する」と、夢を膨らませる。
プロフィール
藤原良輔
1987年、大阪府生まれ。自動車整備の専門学校を卒業後、メルセデス・ベンツの正規ディーラーの整備士として勤務。その後、ダイニングバー経営やSIer勤務などを経て、2018年にアクトビを起業。
会社紹介
ビジネスコンサルティングとシステム開発を手掛ける。グループ会社にデザイン会社のセントラム、マレーシアに海外現地法人を持つ。グループ従業員は約30人。