これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「BYARD・武内俊介代表取締役CEO」を取材しました。
業務可視化でコミュニケーション改善
コロナ禍で定着したリモートワークは、転換期に差し掛かっていると感じる。米国などで業績が悪化した企業で、リモートワークを縮小する動きが起きているのはその一端だ。ただ、リモートワーク自体が悪いのではない。「チームとしての情報共有がないために、お互いにやっていることが見えないというコミュニケーションの不足が問題だ」とみる。
これこそ、自分たちが解決すべき課題だろう。自社のSaaSは「業務設計プラットフォーム」を掲げる。業務全体の流れを可視化し、チーム内で全員が状況を把握できるようにするというベーシックな機能に徹底的に特化している。
属人化から助け合いへ
自社のSaaSでは、メンバーがそれぞれ受け持つ業務をホワイトボードに書き出すように視覚化し、共有される。お互いの業務が見えないと、知らず知らずのうちに仕事を抱え込み、属人化してしまいがち。逆に「業務全体の流れをチームで共有していると、自然と助け合いが生まれる」
ユーザー企業では、急きょ休みを取るメンバーがいれば仕事を代わったり、管理職より現場に詳しいメンバーが業務内容を改善したりという好例が生まれている。助けられた人は、次はまた別の誰かを助けるだろう。「お互い様という誠意の循環が回ることをサポートしていきたい」と力を込める。
チームが力を発揮できる環境をつくる
経営者として「すべてを自分でやらない」ように心がけている。社員がチームでつくり上げていくことを重視し、少し先の指針を示す役割に徹している。自分1人でできることは限られているからこそ、チームの力を最大限発揮できる環境づくりが成長の原動力となる。
国内での成長の先に見据えるのは、グローバル展開だ。「国によって制度が異なる部分はあるが、根本にある働き方の改善という課題はどこでも一緒」。業務設計プラットフォームが世界各地で使われる未来を思い描いている。
プロフィール
武内俊介
1981年、高知県出身。早稲田大学商学部卒。クレジットカード会社のシステム企画部門や会計事務所などを経て税理士として独立。2018年にリベロ・コンサルティングを起業し「業務設計士」としてバックオフィスの業務再構築を支援。21年、BYARDを創業。
会社紹介
業務を可視化し、改善を容易にする業務設計プラットフォーム「BYARD(バイアード)」をSaaSで提供。業務全体の流れから各担当者のToDoまでを一元管理でき、属人化を防ぐ。チーム全体でタスクを共有し、チャットのやり取りもタスクにひもづけることができる。SmartHRの社長公募事業に応募して採用・設立された、同社100%出資のグループ会社。