これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「Relic・北嶋貴朗代表取締役CEO/Founder」を取材しました。
事業開発は「必要な選択肢」
現代はもはや、企業が既存事業だけで経営を続けるのは難しい。市場も経営環境も目まぐるしく変化し、新たな価値を提供し続けなければ、成長はおろか、存続すらも危ういだろう。
「事業のポートフォリオを組み替え、時代に最適な経営を進めていくために、新規事業やイノベーションはどうしても必要な選択肢だ」
国内企業が本気で投資すれば、世界で勝負できる事業領域は少なくない。グローバル市場における日本の存在感を高めるだけでなく「経済成長をつくれるかもしれない」。日本に新しい息吹をもたらすためにも、事業創出の支援は大きな意義がある。
企業も経営も、もっと多様に
世の中の経営のあり方はややもすると「窮屈」ではないだろうか。「スタートアップならユニコーンを目指すべき、上場しているほうが正しい、そんな固定観念が強い」。自らの可能性を自分たちで狭める必要はないはずだ。
Relic本体は非上場を貫き、なおかつ「上場したメガベンチャーを超える成長」を掲げている。持ち株会社体制を敷いているものの、思い描くのは、それぞれの子会社が自律して動く分散的な企業体だ。
「誰もやっていない会社のつくり方にチャレンジしたい」。企業も経営も、もっと多様性にあふれていい。
挑戦し続けて死にたい
社名のRelicは遺物や遺構の意。思想家・宗教家の内村鑑三が記した『後世への最大遺物』から受けた感銘に由来する。内村は人間にとって「勇ましい高尚なる生涯」こそが遺物だと説いた。企業にとっては、新規事業やイノベーションに向かって進み続ける姿勢こそが遺物という思いがそこにはある。
自身が残したい生き様は「挑戦し続けて死ぬ」ことだという。追い求める「イノベーションの民主化」に向け「全力投球しながら死にたい」。たとえ、志半ばで終わったとしても、その思いこそが未来への大きな遺物となる。
プロフィール
北嶋貴朗
1986年、東京生まれ。慶應義塾大学を卒業し、組織・人事系コンサルティングファーム、新規事業に特化した経営コンサルティングファームで幅広い企業を支援。その後、ディー・エヌ・エーで事業創出から成長までを担う責任者を務める。2015年にRelicを創業。21年9月設立のRelicホールディングスの代表取締役CEOも兼ねる。
会社紹介
企業の新規事業開発やイノベーション創出の支援に特化したビジネスを展開。SaaS型プラットフォームを提供する「インキュベーションテック事業」、専門人材による「事業プロデュース」、スタートアップへの投資や大企業との共同事業・JVなどによる「オープンイノベーション事業」を柱とする。