これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「原聖吾・代表取締役」を取材しました。
価値を突き詰めて信頼を獲得
医療技術の進歩によって寿命は延びたが、「病気になるのなら、あのような生き方はしなかったのに」と後悔の気持ちを抱える患者を医師として多く目にしてきた。病気になったとしても、自分らしく生きてほしい。次第に「全ての人が納得して生きて、最期を迎えられる世界」を目指すようになった。
医師をしながら蓄積した専門的な知識に加え、テクノロジーの力を活用することで、可能性が広がると考えた。会社を設立し、オンライン診療サービスを提供し始めたが、すぐに医療機関に受け入れてもらうのは難しかった。
「医療従事者にとって価値がある」サービスだと理解してもらうため、医療従事者へ精力的にアプローチした。結果として信頼の獲得につながり、現在は約7000の施設で導入されている。
異なる強みを持った人が集まる会社
会社には、医療従事者との関係構築に秀でた人や、政策などへのアプローチをするために積極的な渉外活動ができる人、事業による効果を医学やほかの科学の視点から見ることができる人などがいる。強みの種類は異なるが、「医療で社会に貢献したいとの気持ち」は共通している。
チャレンジしているのは、ビジネスプロセスがまだ確立されていない領域。自分たちで開拓していくために、トップダウンではなく、それぞれの社員が自ら考えて動き、成果につなげることを重要視している。
「いいことをやっている」だけではない
「世の中に対していいことをやっているだけでは、(サービスを)使ってもらえず、広まらない。結局、ビジョンも実現できない」。社会への貢献を追求していくのはもちろん、会社であるからには、売り上げを増やしたり、利益を出したりして「事業をきちんと成立させることも意識している」。両立は簡単ではないが、志を同じくする仲間と一緒に、目指す世界の実現に向けてまい進する。
プロフィール
原 聖吾
1981年、東京都生まれ。東京大学医学部を卒業。国立国際医療センター(現国立国際医療研究センター)に勤務後、日本医療政策機構で政策の立案に携わる。米スタンフォード大学への留学を経て外資系コンサルティング会社に入社し、ヘルスケア分野のコンサルタントを務める。2015年に情報医療(現MICIN)を創業。
会社紹介
医療機関と患者をアプリケーションでつなぐオンライン診療サービス「curon(クロン)」や、薬局薬剤師の服薬指導を支援する「クロンお薬サポート」などを展開している。