これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「Review・藤本茂夫代表取締役CEO」を取材しました。
人材に関わる仕事がおもしろい
人材派遣会社で働いていたとき、29歳で大阪府内の支店長を任された。他の支店長は40代が多く一回りほど年下だった。人材に関わる仕事がおもしろくなり、2012年に人材採用支援の会社を立ち上げた。
現在のReviewは独立後の16年に立ち上げた会社で、全国約6500人に登録してもらい、飲食店などの商圏分析を行っている。1日30分、犬の散歩のついでに近所の商店街をチェックしてもらってもいいし、フルで働いてもらっても構わない。「全国スタッフの働き方の多様化を実現しつつ商圏分析を当社が担うことで、顧客の業績を5倍にし、効率化で働く時間を半分にしてもらう」ことをモットーに掲げた。
心が折れそうになったコロナ禍
しかし、20年からのコロナ禍は主力の飲食店向けの商圏分析ビジネスの売り上げが8割減に落ち込み、全国のスタッフに仕事を振れず「心が折れそうになった」と振り返る。中核メンバーとビデオ会議でコロナ後を見据えたビジネスの再構築を夜が更けるまで話し合った。
そこで考えたのが、保健所など行政の公開情報を商圏分析に加えることで、分析精度を高めていく仕組みづくりだった。まずは飲食や宿泊、美容、医療・介護などの店舗や施設情報を全国約470カ所ある保健所から集める方法を考案した。
行政の公開情報を分析に活用
ほとんどの保健所が紙で情報を開示し、書式もバラバラであることが集計する上での足かせとなったため、専用のOCRを独自に開発。効率よくデジタル化する仕組みを構築した。コロナが落ち着いた後に全国の保健所から集めた情報をデジタル化。地域のスタッフが足で稼いだ商圏情報を組み合わて分析を行ったところ、顧客から高い評価を得ることができた。
また、店舗や施設のSNSのフォロワー数などネット上の情報も加味する独自の商圏分析システムを深化させた。コロナ禍のどん底にあっても新しいビジネスモデルを追求した成果として、本年度(25年2月期)は過去最高の業績を更新できる見込みだ。
プロフィール
藤本茂夫
1977年、大阪府生まれ。97年、大阪法律専門学校(現・大阪法律公務員専門学校)卒業。人材派遣会社を経て2012年に人材採用支援の会社を起業。16年にReviewを設立。
会社紹介
全国約6500人の登録スタッフによる現地調査と、ITによるデータ収集・分析を行う商圏分析サービス「macci(マッチ)」などを手掛ける。サービス名のmacciは「街をマッチングする」が由来。