これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「RIT・安武遼太CEO代表取締役」を取材しました。
最新ITを大手ユーザーに
独自のサービス体系を構築して日本の産業力を高める一翼を担いたいとの信念でRITを立ち上げ、大企業を中心にアジャイル開発の導入支援や、プロトタイプ開発など最新ITの開発技法を売り込んだ。試作品をこしらえて操作具合を確認するプロトタイプ開発の手法は現場から高い評価を得た。
直近では生成AIの活用を手助けするなど、「その時代の最新技術を比較的大規模なユーザー企業に導入する独自のサービス体系でビジネスを伸ばしてきた」と振り返る。
自分の“物差し”を持て
新卒で入ったコンサルティング会社では「自分の“物差し”を持て」と教えられた。他人の意見に流されない判断軸を明確にすると同時に、自分と距離がある相手とも協業できる落とし所を見つけるために、自分の価値基準が揺らがないようにしておくべきという教えだ。
顧客や経営メンバー、従業員、それぞれの物差しがあり、仕事から離れれば子育てや家事、趣味といった別の顔もある。ビジネスでも同じで現場の業務や商慣習、最新のデジタル技術に距離があるのは当たり前。落とし所を探りながら協業仲間を増やして、次につなげていく手腕を発揮した。
大手製造業の胸を借りる
起業してから10年が経過したときの従業員数は40人程度。ふと「この先10年続けても倍の100人が限界ではないか」と感じて、2024年1月に太陽ホールディングス(太陽HD)グループのデジタルビジネスを手掛けるファンリード傘下に入る決断を下す。開発メインのファンリードと、独自のサービス体系を構築するRITの強みを組み合わせる布陣だ。
製造業を中心とした太陽HDグループの胸を借りて、「日本の基幹産業の一角を担う製造業向けのサービスを開発し、より影響力が大きいビジネスに育てる」。向こう10年で従業員数500人を念頭に、日本の産業力の向上を目指す。
プロフィール
安武遼太
1987年、福岡県生まれ。2010年、慶應義塾大学法学部卒業。同年、シグマクシス入社。13年、RIT設立。
会社紹介
大企業を中心に最新デジタル技術の導入を支援。2024年1月、太陽ホールディングスグループのファンリード傘下に入る。