これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「neoAI・千葉駿介代表取締役CEO」を取材しました。
政治・経済でリーダーに
20代、30代、40代で実現したいことを決めている。20代はAIで業務課題を解決する。30代で海外進出を実現し、40代からは政治、経済、技術といった分野でリーダーになり、後進の育成に取り組む。
大学在学中にAIスタートアップを起業し、生成AIの追い風をうまくつかんで第1ステップを達成。現在は第2ステップとなる海外進出に向け、着実に準備を進めている。
師事している東京大学の松尾豊教授が有識者として国の政策決定に助言するのを見聞きし、松尾研の“兄弟子”が東京都知事選に立候補したことなどに刺激を受け、「40代以降は自分も国や経済を動かす活動に加わりたい」と、第3のステップを思い描くようになった。
天文観測からITの道へ
中学・高校のときは天文気象部に所属し、何万光年も離れた星雲の写真を撮っていた。撮影装置には、地球の自転に合わせてカメラをサーボモーターで動かして星を追尾し、長時間露光をする装置を使う。この装置を見て「ソフトウェアでサーボモーターを制御する仕組みに関心を持った」のが、ITとの最初の接点だった。
広大な宇宙に進出するには、人間の知能をはるかに上回る高性能AIやロボットの存在が欠かせない。であるならば「自らAIの道に進んで世界をリードできるようになろう」と決意して起業に至った。
大手企業の胸を借りる
日本には化学や電子機器、精密機械で世界シェアを持っている企業が多数存在している。こうした既存の大企業と組むことで自らのAI製品を世界に広げられると考え、富士フイルムビジネスイノベーションやマクニカ、双日テックイノベーションなどおよそ10社と精力的に業務提携を進めている。
既存の大手企業のAI活用を促進する役割を担いつつ、並行して「大手の胸を借りて世界で競争力のあるAI製品の開発」に全力を注ぐ。AI開発の国際競争は熾烈を極めるが、「日本の政治、経済、技術をうまくつなぎ合わせれば、国際競争力のあるAI産業を育成でき、国を豊かにすることができる」と夢を語る。
プロフィール
千葉駿介
2001年、神奈川県生まれ。22年、東京大学工学部在学中にneoAIを起業。24年、東京大学工学部卒業。東京大学大学院技術経営戦略学専攻(修士課程)在学中。
会社紹介
東京大学松尾研究室発のAIスタートアップとして2022年に設立。生成AIプラットフォーム「neoAI Chat」を開発。従業員数は約80人。