これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「Zaimo・古城 巧代表取締役CEO」を取材しました。
経営者の肩書は“ラベル”
「経営者という肩書はラベルでしかない」。そう言ってはばからず、自分の役割について“ビークル”(乗り物)と表現する。良いソリューションを多くの人に届けることを使命に「どうせやるなら、経営管理SaaS『Zaimo.ai』をグローバルのデファクトスタンダードにしたい」と世界を見据える。
最強の黒子になる
前職のベンチャーキャピタルでは、投資先の経営計画の作成をサポートしてきた。提出される計画には情報の過不足があり、財務面に不慣れな担当者も多かった。
中でも課題に感じたのは表計算ソフトの使い勝手。財務情報を含む計画フォーマットとして主流となっているが、セル内の計算式は一見して何の数字を表しているか分かりづらく、共有には不向きな面がある。「いいところを残し、悪いところを排除したい」。自身も表計算ソフトを使うのが好きだ。だからこそ、既存の方法を生かしながらより便利なツールをつくろうと起業。1年あまりで経営管理プラットフォームの正式リリースにこぎ着けた。
管理機能だけでなく、経営者の背中を押す“黒子”として使い勝手にこだわった。例えば、企業の細かい財務数値を見ると、利益を出す仕組みは会社によって異なる。そこで計画を構成する要素を増やし、1万通り以上の組み合わせを提供している。「最強の黒子になる」と、さらなる進化を志す。
失敗を恐れない
子どものころは勉強に前向きに取り組む環境ではなかった。しかし、高校や大学受験を通じて「目標から逆算して動き回る」癖を身に付けたことが、今の原動力になっている。「失敗を気にしている経営者に人は付いてこない」。失うものはなく、失敗を恐れない。
二児の父親としての責任感も自覚している。「子どもが大きくなって『お父さんは何をやってきたんだ』と言われたとき、他責にしたくない」。より良い社会をつくるために奮闘する。
プロフィール
古城 巧
1988年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学大学院理工学研究科修士卒。証券会社や戦略コンサルティング会社、ベンチャーキャピタルを経て2023年にZaimoを創業。
会社紹介
経営管理SaaS「Zaimo.ai」を提供。企業の事業計画や予実管理についてビジネスモデルごとのテンプレートなどをもとに作成、修正でき、負担軽減と属人化解消に貢献する。