これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「メタセンシング・奥野義人Founder&代表取締役社長」を取材しました。
人の役に立つ会社を
学生時代に応用物理を学び、センサーの研究をする中で「人の役に立てるような、ものづくりをサポートする会社を起こしたい」と考えていた。
ビジネスのイロハを学ぶため2社でキャリアを積み、研究室や大企業向けの数億円もの特殊な装置から、コンシューマー向け機器まで幅広く研究開発を経験。自社では、製造業向けに理化学機器を安価で使いやすく提供することで、ものづくりを支援する事業を展開している。
難しいことを簡単に
開発した小型ラマン分光器は、従来製品が100キログラムを超える大型だったのに対し、性能は維持したまま手のひらサイズと大幅な小型化に成功。工場のラインなどに組み込みやすい点が高く評価され、製薬メーカーを中心に採用が進んでいる。
同時に取り組んだのが、センサーが取得したデータを誰でも活用できるようにすることだった。自社のセンサーは、材料の組成を明らかにする機能を持つが、得られるデータが複雑で解析に専門性が必要なため、扱える人が限られてしまう。「難しいことを簡単に」できることを目指し、AIエージェントがセンサーが取得したデータを自動で分析するソリューションも併せて提供。「材料がしゃべってくれているようなイメージ」で、データを誰でも認識できるかたちに自動で置き換えることに注力している。
データから価値を引き出す
「ものづくりを高い効率で回すには、生成AIの活用は必須」との思いがある。センサーや製造装置がAIと連携し、接続するインターフェースを提供していきたいと思い描く。製造ラインが、AIの活用によって半自動的に回る世界を目指している。
現在のところ、生成AIは言語データを活用するサービスが多いが、自社は製造業に眠っているデータから価値を引き出すことにフォーカスする。日本の製造業は歴史も長く、蓄積したノウハウにこそ強みがあると感じる。「見えていないデータをセンシングすることで、価値に変えていきたい」。ものづくりを支える視線は常に前を向いている。
プロフィール
奥野義人
1984年生まれ、兵庫県出身。大阪大学大学院博士課程(応用物理)修了。2014年に堀場製作所に入社、計測機器の研究開発に従事し、フランス駐在も経験。20年、中国Huawei(ファーウェイ)に転職し、技術研究所でヘルスケア分野の製品開発を担当。23年、メタセンシングを創業。
会社紹介
アタッチ式の小型ラマン分光器「Raman EYE」と、取得したデータを解析するAIエージェントを提供。AIエージェント「MetaSpectraBot」は、最先端の生成AIによって膨大な材料データを瞬時に解析。複数の分析手法を統合し、直観的なインターフェースでデータ解析を支援する。