これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「メロン・三橋勇太代表取締役CEO」を取材しました。
チームで得る達成感に価値
学生時代に最初の会社を立ち上げたきっかけは「社会を変える起業家になりたい」という思いだった。フェイスブックの創業者、マーク・ザッカーバーグの半生を描いた映画「ソーシャル・ネットワーク」に心を動かされたからだ。しかし、事業を進める中で社会貢献や個人の名声に過度な理想を抱かなくなった。今はチームで物事を達成することに価値を見いだし、「全員で何かをつくって世の中を驚かせたい」と見据えている。
世界に通用するプロダクトに
手掛けるのはAIを使った時系列解析。工学博士の共同創業者・CTOが相棒として技術を支える。自身は「究極のユーティリティープレーヤー」。ビジネスに必要なことは、こだわりを持たずにやりきる。その中でも、社内に在籍するデータに精通したプロフェッショナルの「技術への衝動」をいかに生むかが、重要なミッションと考えている。
本来の性格は行き当たりばったりだ。ただ、さまざまな役割を演じるのが得意で、その場にふさわしい自分を選び取って振る舞う。CEOとしては時系列解析の分野でグローバルに進出する戦略を冷静に描き、チームをけん引する。
ニッチな領域に特化することは勇気がいる。だからこそ技術を磨けば、世界に通用するプロダクトが生まれると信じている。「目標を実現するのは、僕じゃなくて技術者」と信頼を寄せ、道筋づくりに徹する。
前向きに仕事をする
「めちゃくちゃ頑張らないといけないし、いっぱい働かないといけないし、やることはたくさんあるけど、悲観的になる必要はない」。会社員時代は厳しい言葉をかけられ、十分なパフォーマンスができなかった。働くことの価値観が大きく変わり、歯を食いしばるよりも前向きに仕事をすることがモットーになった。
「メロンという船でどこまで行けるか、今一番の楽しみ」。風を受けながらも、仲間と前進する決意は固い。
プロフィール
三橋勇太
1992年生まれ、三重県出身。一橋大学商学研究科経営学修士コース(MBA)修了。コンサルティング会社やAI開発会社を経てメロンを創業。
会社紹介
2022年設立。時系列データのAI解析を基にしたソフトウェアを提供。小売りの需要予測や製造の異常検知など個社ごとの開発のほか、発注最適化システム「KISS」などを展開する。